【産業天気図・外食】「曇り」続くも客数に底打ち機運。価格戦略の成否が注目点

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10年10月~11年3月 11年4月~9月

外食業界は2010年10月以降、1年終始「曇り」が続くものの、上向く兆しも見えてきた。例年にない猛暑を追い風に、低価格が特徴の麺類・洋風ファストフード業態などで客数が回復。客足の落ち込みにようやく底打ち感が出てきた。

日本フードサービス協会によると、外食業界の8月全店売上高は前年同月比1.6%増と、2カ月連続で前年を上回った。記録的猛暑に加えお盆時期も週末と重なったため、客数が同3.6%増と、7月の同2.9%増からさらに伸張した。安価なドリンク類の販売増などにより、客単価は同1.9%減と7月よりも下落幅は拡大した。

今夏の動きで最も特徴的だったのが、客単価が5000円前後で、他業態と比べ高価格帯に位置するディナーレストラン業態の回復だ。同業態は7月に前年同月比2.5%増と、08年3月以来実に28カ月ぶりに前年を超過。猛暑効果により飲料の注文が伸びたという一時的側面もあるが、この基調が続けば、外食業界全体の底打ちに向けた明るい材料になる可能性もある。

ただ、今後懸念材料として挙げられるのが、09年5月以来15カ月連続前年割れ状態にある客単価の動向だ。消費者の節約意識の高まりを受け、牛丼・居酒屋業態をはじめとして、企業側は価格の引き下げを行っている。各社とも値下げによる客数増で客単価減をカバーする目論見だが、ともに牛丼チェーンであるゼンショーの「すき家」、松屋フーズの「松屋」を除き、その効果は不十分。苦肉の値下げ競争が繰り広げられている。

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