「配属ガチャ」「上司ガチャ」が何とも不毛すぎる訳 キャリア形成、「いい仕事」は待つ時代じゃない

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しかし、ここに企業と個人の間にズレが生じている。日本の大手企業が総合職社員を職種も勤務地も無制限に配置転換させてきたのは、終身雇用が前提だったから。かつては、「定年まで面倒を見るから、そのかわり会社の要請に応じてね」という暗黙の了解が機能していた。ところが、終身雇用が完全に崩れ去った現代の若者で、就職しても一生安泰と思っている人は減る一方だ。会社を変える選択肢も当たり前の世代だからこそ、今この瞬間に自分の希望する仕事ができるかが大切になる。

また、「配属ガチャ」と同様に、「上司ガチャ」「同僚ガチャ」という言葉すらも見かける。誰が上司や先輩になるかは、まさしく運次第。どんなに希望どおりの仕事内容でも、周囲の人間関係次第で楽しくも苦しくもなることを表現している。

新卒社員の研修時でよく挙がるのは、「そっちの上司の〇〇サンはいいよなー、うちの上司の△△サンなんてめっちゃハズれなんだけど……」などという会話だ(もちろん上司側に実際に問題があるケースもあるのだが)。

一方で、「上司ガチャ」とは逆に中間管理職が「部下ガチャ」を嘆くシーンも増えつつある。配属される部下の特性次第で、上司がマネジメントに非常に苦労するケースが出ているからだ。いずれにしろ、上司・部下・同僚の組み合わせは運の要素で決まることが多く、自身がキャリアにおいてどんなに努力をしても覆せないこととして捉えられているのだろう。

会社を選ぶのではなく、仕事や人で選ぶ時代に

このように、仕事やキャリアに関わる出来事を「ガチャ」と言われはじめたのはなぜなのだろうか。理由の1つに考えられるのは、個人が仕事を選ぶ基準が変わってきたことだ。先に挙げたように、終身雇用が過去の幻想となり、「安定した大手企業に勤めていれば一生安泰」という価値観の人は確実に減っている。

つまり、新卒の就活や転職活動においても「どの会社に入るか」という“就社”ではなく、「誰と一緒に、どんな仕事を通して、どんな役に立つのか」といった、より具体的な観点を重視する人が増えているのだ。そのため、こうした志向からすれば、職種や上司・同僚は仕事選びの大事な基準なのにもかかわらず、自由に選べないことが「ガチャ」のように感じられるのだろう。

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