「成功=幸福と考える人」が知らない本当の幸福 幸福と幸福感は違うものだという事実
――今、達成できていないことを考えて生きることは現実的とはいえません。成功していようといまいと、「今」どう生きるかを考えることこそが現実的です。
成功するまでの人生はリハーサルでも仮の人生でもありません。今生きているこの人生しかないのです。
「幸福」と「幸福感」は違います。どんな時に、自分が幸福である、と感じられるのかをはっきりさせないといけない。たとえば、お酒を飲むと、心地よい酔いを感じるでしょう。その時、幸福感はあるかもしれないけれど、それと、幸福は別ものであると私は考えています。
幸福感は酩酊のように覚めるものです。皆と一緒の時は楽しくても、自分の部屋に帰ってきたら寂しくなるのなら、幸福感ではあっても、幸福ではありません。
本当に幸福になるには、何によって「幸福に生きる」という目的を実現できるか、そのための手段は何であるかを知っていることが必要です。その意味で幸福は知的なものです。
幸福とは「貢献感」
それでは、どんな時に人は幸福であると感じられるのでしょうか。もう少し後で話そうと思っていたことを今話すなら、自分が貢献していると感じられる時です。何らかの仕方で「人の役に立てている」と感じられる時に、人は幸福でいられます。
C:そんなふうに考えたことはありませんでした。なぜ貢献感があれば幸福といえるのですか?
――貢献感を説明するのは簡単ではありません。夏の暑いさなかに、冬の寒さを実感するくらい難しい。それでも冬の寒さを一度も経験したことがない人はいないでしょうから、貢献感を理解するよりは、まだその方がわかりやすいくらいです。貢献感は、一度も感じたことのない人だと、まったくわからないでしょう。
A:私はわかると思います。アルバイトの時、私が提案したスーツのコーディネートを喜んでもらえたら嬉しいです。そのような感じですか?
――それもあります。ただし、いつも誰かに喜んでもらえるという保証はありません。それと、何かをしているから、何かをしたから人の役に立てている、貢献できているのではない。これは実感するのは難しいかもしれません。