活況続くゴルフ業界「女性視点」が全然足りない訳 ゴルフをすることを職場で内緒にする女性も

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結果に対する全体の考察も出している。「女性ゴルファーの多様化が進んでいる」というのは、新しい人が多く入ってくれば当然と言えば当然で、男性ゴルファーでも当てはまる。ただ、クラブやボールを始めとしたゴルフ用品では、確かに男性用の選択肢は多様化しているが、女性向けは選択肢が少ない。「女性ゴルファーを一括りにして、産業振興策を論じているゴルフ産業側の硬直性をあぶりだしている」と指摘している。

また「産業側に努力で実施可能なものもある」として、提案もしている。例えば「初心者が訪れやすい練習場環境づくり」。具体策は示していないがおじさんの視線が気になるようなら、女性専用エリアをつくるなり、男性だってじっと見られるのはいやだろうから、打席後ろに立ち止まることを禁止するなりはできそうだ。

「宅配代金軽減のために、クラブ購入時に年数回の宅配代金と宅配ケースをつける販売方法」「レンタカーとレンタルクラブがセットになったサービス」を提案している。宅配業界やレンタカー業界などと連携できれば実現しそうだ。これまで「ゴルフパック」のような旅行業との連携はあったが、今後は異業種とのもっと細かな連携が必要になってくるだろう。

「ゴルフスクールにおけるルール・マナー講座の標準化」は、ティーチングプロを擁するPGAの本業ともいえる。一律に、とはいかないかもしれないが、すぐにでも対応できることではある。

新規ゴルファーに占める女性の割合は44%

PGAと契約して今回の調査を行った矢野経済研究所では、2021年3月にコロナ禍の中での新規ゴルファーの参入などについて独自調査を行っており、約25万人が新たに始めたと推計し、そのうち44%が女性と算出している。ゴルフ人口の中で女性に占める割合は15%前後と言われるので、コロナ禍の新規ゴルファーの女性比は高い。

これからも、女性がゴルフを始めるケースが多くなってほしいところだが、そのためにも、今回の「女性の声」は重要だ。

結果を公表したPGAの根本事務局長は「結果はわれわれの想像していたとおりのこともあるし、逆のこともあった。われわれ公益社団法人の役割は、ゴルフを一般に普及させること。こうした意見を参考にしながら、メーカーはじめ各ゴルフ団体で役立てていただけたら」とし、足元のティーチングについては「指導法とは違う部分(での指摘)もあり、今後の女性へのレッスンに生かしていければと思います」と話した。

女性、しかもライトゴルファーに焦点を当てた今回の意識調査は、たぶん初めての試みなので、意義はある。結果、「多様化」という現状が見えてきたことからいって、今回の声が女性ゴルファーを代表しているとまでは言えないが、確かな生の声であることには間違いない。中には、男性でも同じように思っているものもある。すべての不満の解消や要望の受け入れは無理だが、1つでも2つでもつぶしたい。

赤坂 厚 スポーツライター

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あかさか あつし / Atsushi Akasaka

1982年日刊スポーツ新聞社に入社し、同年からゴルフを担当。AON全盛期、岡本綾子のアメリカ女子ツアーなどを取材。カルガリー冬季五輪、プロ野球巨人、バルセロナ五輪、大相撲などを担当後、社会部でオウム事件などを取材。文化社会部、スポーツ部、東北支社でデスク、2012年に同新聞社を退社。著書に『ゴルフが消える日 至高のスポーツは「贅沢」「接待」から脱却できるか』(中央公論新社)。

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