コロナで人気「移動コンビニ・スーパー」最新事情 ローソンは「都心の高齢者施設」の開拓に本腰
マルシェバス実証実験の目的について十勝バスの担当者に話を聞いた。
「昭和40年代から建設された大空団地には最盛期には1万人以上が住んでいましたが、現在約4300人で、高齢化率は42%に達します。この地域の活性化が今回の実証実験の最大の目的で、団地住民の移動機会の創出、コミュニティづくりにつながればと考えています。それに付随して弊社の事業多角化、路線バスの新たな収入源確保の道を模索しています」
居住者が減り高齢化が進む大空団地。近隣のスーパーは5年前に閉店し、現在は地元のコンビニが1軒あるぐらい。車を運転しない高齢者にとって日常の買い物が困難となっていた。そんな現状を打開するための取り組みである。
8回運行したマルシェバスの12月の実績は、乗車人員71人、運賃収入1万7510円、来客数541人、販売額58万2767円だった。1回当たりの来客数は67.6人、販売額は7万2845円。
経産省の資料によると、ビジネスモデルの基本は、商品販売の売り上げは店舗運営事業者が得る。店舗運営事業者は十勝バスに基本利用料金(車両使用料、ガソリン代、人件費など)を支払うほか、契約に応じて売上金額の数パーセントを支払うことになっている。今回の実証実験では、経産省からバスの改造代など約1500万円が支援された。
これまでの結果をどう受け止め、今後の本運行にどうつなげるのか。
「一定のニーズは確認できました。買い物場所が少ない地域のため、お客さまには好評をいただいています。販売場所での井戸端会議の光景もみられました。大雪の翌日に運行した際には、
前日に〝明日は来てくれるのか〟というお問い合わせがあり、当日は〝こんなときだからこそ来てくれてありがたい〟というお言葉をいただきました。実証実験終了後に、運行オペレーションなどを再検討し、来年度以降(2022年4月以降)の本運行を目指したいと考えています」(十勝バスの担当者)
販売商品の品揃え、販売時間帯、販売スタッフの数、販売方法、バスの改造コストなどオペレーションで見直すべき点は多々出てくるだろうが、利用客にとってはありがたいサービスであることに変わりない。帯広での本格運行が始まり、事業として継続できれば、やがて全国に広がる可能性がある。
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