コロナで苦境の温泉地「源泉も疲弊」の深刻な問題 湧出量はピーク時の9割程度に減少、泉温低下も

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
自然災害やコロナ禍により客足が遠のき、日本の温泉街がかつてないほどの苦境に経たされている……(写真:genki/PIXTA)

日本各地の温泉・温泉街がさまざまな危機に直面している。直近では日本列島を襲った大雨で九州や東北などの温泉地で大きな被害が出た。さらに1年半に及ぶコロナ禍で温泉地を訪れる観光客が激減し、休業・廃業に追いやられた旅館やホテルも数多い。自然災害やコロナ禍で日本の温泉街がかつてない苦境に立たされているのだ。

それだけではない。日本各地で自噴源泉(自然に湧出する温泉)が減少し、湧出量減少や泉温低下という温泉資源の〝存亡〟にかかわるような事態まで起きている。日本の温泉を取り巻く状況を探ってみた。

国内旅行者はコロナで半減

日本各地の観光地は長期化するコロナ禍で軒並み厳しい環境に置かれている。2020年の日本人国内延べ旅行者数は2億9341万人で前年比50.0%減、国内旅行消費額は9兆9738億円で同54.5%減だった。旅行者、消費額ともに半減である。最新の2021年4~6月で見ると、旅行者数は6311万人で2019年同期比61.5%減、消費額は1兆8091億円で同69.8%減と状況はますます厳しくなっている。

そうしたなか、経営体力を失い、事業継続が困難となる旅館、ホテルが続出している。帝国データバンクの調べによると、2020年のホテルなど宿泊業の倒産は127件で、前年比1.8倍の大幅増だった。2021年上半期では、ホテル・旅館の休廃業・解散が104件と、過去5年で初めて6月時点で100件を超えた。

有名温泉地の現状も悲惨だ。日本を代表する温泉地・大分県の2020年の状況を調べてみた。

※ 延べ宿泊者数 486万0480人 前年比38.5%減 平成22年以降最低
※ 外国人約16万人  同86.6%減 平成22年以降最低

2021年のゴールデンウィークの数字はこうだ。

※ 宿泊客数 3万3002人(2019年比55.9%減)
※ 別府地域 1万8633人(同58.6%減)
※ 湯布院地域  1630人(同45.7%減)

別府市では老舗の「ホテル三泉閣」が10億円の負債を抱えて2020年8月に倒産した。

東京から新幹線で45分の人気温泉地・熱海市の観光客数も激減した。2020年の年間宿泊客数は185万6884人。前年比で126万人、約40%の大幅減だ。コロナ禍前は、2015年から5年連続で300万人台を超えていた。全国各地の温泉地が苦しんでいる。

次ページ全国の温泉地数は減少傾向
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事