試行錯誤の末、皓史さんが朝5時に起きて仕事の支度や家事、娘を保育園に送る準備などをこなし、朝紗子さんが6時に起きてきたらバトンタッチ。朝7時から働く……というフォーメーションにたどり着いた。
週イチの「経営会議」で近況報告
苦労の中で収穫もあった。それは、夫婦でルールにしている週1回の「経営会議」の習慣が生まれたことだ。会社の話をメインにしつつ、プライベートも育児も、相談事はすべてここでしているという。
「『最近調子どう?』『今日は、心と体どれくらい疲れてる?』とか聞くことから始めてます。まずはお互いのコンディションを聞いて、そこから思っていることをシェアしていくんです。
たとえば僕に出張があって、妻がワンオペ気味のときは『あのときの疲れがまだ残ってる』とか、嫌な仕事を受けちゃったときには『売り上げはついてるけど、心は全然躍ってないんだよね』とか」
パートナーに対し、「言葉にしなくても、こっちの気持ちは察してほしい」と思ったことのある人もいるだろう。しかし、夫婦といえども、もともとは他人であり、結婚しても別の人間。皓史さん朝紗子さん夫妻は、家庭内でもしっかりと“報連相”することを大切にしているよう。
「『ずっと思ってたんだけど、ここを直してほしい』みたいな話って、爆弾のようなものだと思うんです。いざ投げられても、修正が効かなかったり、何も言えなくなって相手を諦めたりするかもしれない。
うちは仕事も家庭も一緒なので、定期的に話をしてすり合わせしたり、お互いのコンディションをよくしておかないと、ガタがきてしまう。内心ムカッとすることがあっても、この場ではお互いに受け入れる態勢で話を聞いています」
この経営会議は、公私混同経営において最重要事項といえそうだ。
なお、こうした細かな夫婦のコミュニケーションは、朝紗子さんの経営者としてのスタンスも関係しているよう。
「妻は『会社を上場させたい、大きくしたい』タイプの経営者ではなく、『自分自身と、その周りの幸せが第一』という考え方なんです。自分がよいコンディションでいることが一番で、次が家族との時間をちゃんと取ることで、その次が仕事や社会とつながること。僕も、この順番は間違えないようにしていますね」
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