皓史さんは取材の中で何度も「コンディション」というワードを口にしていた。経営会議のときだけでなく、毎朝起きたときは「今日の体調は何点?」「50点かな〜」とお互いの状況を確認することから始めるという。
「会社でいう朝礼みたいな感じです(笑)。でも、それがあると、『今日は疲れてるからこの言い方なんだな』っていうのがわかるじゃないですか。そういうときには『今日、この話するのはやめよう』って相手への理解を深められる」
口ではなく「文字」で会話
また、コミュニケーションの方法にも工夫が。口頭ではなく、メッセンジャーなどで文字のやり取りすることも多いようだ。
「妻は喜怒哀楽が僕よりあるほう。なので、わーっと言われると、内容がまったく入ってこなくなるんです。内容ではなく喜怒哀楽で受け取っちゃうんですよね。一方、僕は話すのがそんなに得意じゃないので、アジェンダや文書があるとより話が伝わりやすい。
だから妻には、『提案があるときは、アジェンダを持ってきて!』って言うようにしていて」
まるでビジネスのやり取りのようにも見えるこの方法。しかし、皓史さんが、事業を一緒にしようと持ちかけたときもそうだったという。
「A4サイズ2枚の企画書を作って、『一緒に会社をやりませんか? つきましては結婚も……』って提案したんです。”プロポーズプレゼン”って僕たちは言ってるんですけど(笑)」
ちなみにこの日の取材でも、皓史さんは事前に、質問事項に文書で回答してくれていた。話すことが得意な人もいれば、皓史さんのように文字でのやり取りのほうが肌に合う人もいる。仕事然としているが、相手の感情をダイレクトに受け取ってしまいがちな彼にとっては、大切な人と齟齬なく言葉のキャッチボールをするためには、合理的な方法なのだろう。
「仕事関係の人や友人であれば、自分の“いい面”だけ見せれば通用するじゃないですか。でも、夫婦のコミュニケーションは一番、素の自分を出すもの。“悪いときの自分”も生活の中で見えているわけだから、コミュニケーションも感情的になりがちだと思うんですよ。
でも、『イライラしたわ!』って言うと、音のコミュニケーションになってしまう。僕は人の顔色とか結構気にしちゃうタイプなので、『今日は体調が悪い』とか『今日はそっとしておいて』みたいなことは、逆にメッセンジャーで言われたほうが安心できるんです」
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