早速、キックオフ会をすることになったのだが、友人は「ふたりでよろしくやっておいて」と不参加を決め込む。彼は3人の子供がいる父親だったのだ。結果的に、皓史さんと朝紗子さんはふたりでキックオフ会することになったのだが、意気投合。その後、交際に発展した。
「妻は学生時代に起業していて、当時は創業して4年目。今まで同世代の女性には感じたことのないパワーがあって、ビジネスセンスにも『すごいな』って感じていました」
イチ社会人としても刺激を受けつつ、順調に進んだ交際。しかし、彼女がこぼした言葉に、引っかかる出来事があった。
「『私はこういう仕事をしてるから、結婚とか出産とかは諦めてるんだ。きっと両立できないから……』って、ぼそっとつぶやくことがあったんです。当時、妻はひとりで会社を経営していて、『私が潰れたら終わり』という気持ちだったみたいで、結婚や出産はなかば諦めかけている感じでした。仕事を頑張りたい女性が家庭を持ちづらいことに、『それっておかしい話だよな』『なんとかできないかな?』って考えたんです」
朝紗子さんの言葉を聞き、「経営者としての輝きと、家庭を持つことの幸せ」を考えた結果、皓史さんはプロポーズを決意。結婚と同時に会社を退社し、「朝渋」の事業を朝紗子さんの会社に合体させる“公私混同経営”をすることを提案した。2018年のことだった。
「公私混同経営」を始めたときの苦労
お互いにうまく家事分担をしていたため、結婚当初はそれほど大変ではなかったが、2020年に娘が生まれてからはさまざまな困難が待ち受けていた。
「生まれてから半年ぐらいは大変でした。妻は2カ月で仕事に復帰したのですが、授乳とか、育児の負担が大きかったんです。
そこで思ったのは『睡眠不足が人をダメにしていく』ということ。どうしてもイライラしちゃうし、仕事の生産性も落ちるんですよ。経営者は意思決定が仕事なのに、それも難しくなりますし」
授乳や寝かしつけなどは朝紗子さんが、その他の家事は皓史さんが担当する……というのが当時の家事分担だった。
「娘が保育園に通い始めてからは送り迎えも始まりました。朝7時から11時くらいまで働いて、午後は主夫をしたり……みたいな時期もあって。でも、そうすると、今度は僕の生産性が落ちてしまったんです」
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