中東混乱、原油価格の安定はいつまで?

畑中美樹・インスペックス特別顧問に聞く(下)

(撮影:尾形文繁)

※前編はこちら

――一方、中東の地政学リスクが原油市場に与える影響をどう見るか。

最近、ウクライナやイラク、リビア、ナイジェリアなど地政学リスクは存在しているけれども、原油価格は下がっている。つまり、地政学リスクと原油価格はリンクしていない。

理由は二つある。一つはシェール革命だ。米国の石油の生産量が増え、輸入量が減少している。過去4年間ぐらいで日量220万バレル程度も輸入量が減った。米国が買わない分が他国へ流れるわけで、それだけ需給が緩んでいる。

もうひとつは、地政学リスクが高まっているとはいえ、原油の生産、供給にほとんど支障が出ていないことだ。イスラム国はイラク中央部やシリアで活動しているが、イラク南部の主要油田などには行けないことがはっきりしている。そのため、原油価格が上がらない状況になっている。

シェールの供給量は2020年以降減っていく

問題は、それがいつまで続くかだ。シェール革命にはいろいろな見方があるが、2020年以降になるとシェールガスやシェールオイルの供給が減り、オイルに余剰感がなくなるというのが一般的な見方。小さいガス田や油田が多く、寿命が7~8年程度なので、次から次へと掘っているが、だんだんと採掘が難しくコストのかかる井戸が増えてくる。採算が悪くなるので、生産量も落ちていくと見られている。

また、イラクでは、欧米系の石油会社が投資先から撤退したり、従業員を一時避難させたりしている。5~7年先を見ると、当初想定されていた石油の増産計画が未達に終わる可能性がある。特にイラクは2020年以降、世界の石油需要が増加する分の6割ぐらいを賄うと予想されている。それがその通りにいかなくなれば、シェールの頭打ちと合わせて供給が伸び悩み、地政学リスクが原油価格に効きやすくなる可能性がある。

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