アマチュアプレーヤーである私にとって、大好きなゴルフは究極の癒やしです。仕事や雑事から離れ、広々とした芝の上で心を無にしてクラブを振ることで、身体も頭もリセットします。
知人友人に誘われて始めたゴルフでしたが、すぐに虜になってしまいました。もともと身体を動かすことは大好きでしたし、何よりこの精神的なスポーツが性に合ったのだと思います。練習に練習を重ねて、初めてグリーンに出たときのうれしかったこと。大げさに聞こえるかもしれませんが、私の人生において、ここから新たなストーリーが始まりました。
ゴルフは確かに癒やしです。ただ、恐ろしいのは、練習を怠ったり自分をごまかしたり、つまりゴルフに対して真摯に取り組まなければ、かえって大きなストレスになってしまうことです。
そういう意味では、私にとっては単なる趣味や癒やしの存在というだけでなく、「ゴルフ道」とでも呼べるような、一種哲学的で修行を伴うような対象でもあるのかもしれません。
実際、私にとってゴルフコースは神聖な場所です。日頃の練習の成果が問われる、いってみれば厳かな場所です。
何人かでラウンドしていても、ボールに向かい合うときは、私一人。失敗しても、誰のせいにもできません。責任を負えるのは自分だけです。ショットに失敗したからといって、物にあたったり、芝を蹴ったりという行為を目にすると、ゴルフそのものに対して申し訳なく思います。
ゴルフとは、ただスコアを上げればいいというスポーツではなく、18ホールの間、つねに自分自身とも闘わなければならない、上質な精神性を伴うスポーツなのです。それを汚すような行為がなくならないことに、悲しい思いさえ、感じます。
とはいえ、あくまでアマチュアである以上、やはり楽しまなくては。
グリーンでは、上手な人というよりは、気の合う仲間とラウンドするほうが楽しい。18ホールの中でたった1打のクリーンショットを出せれば幸せ。ストイックでありながらも、こうした余裕の中で楽しめるのが、ゴルフというスポーツの醍醐味です。
仕事の中にいい意味での「遊び」があると、次の仕事への活力を生み出すものです。仕事と同様、真摯に向き合いたいゴルフですが、怠ることなく日頃の努力を続ける一方、ここにも大人ならではの余裕を持つことで、より一層腕が磨かれる場面も多いはずです。
仕事にしても趣味にしても、ただひたすらガツガツと取り組んだところで、それほどよい結果は得られないもの。大人たるもの、仕事にもゴルフにも余裕を持ち、ひたむきに取り組みつつも癒やされることができれば、この上ない幸せだと思っています。
大阪・岸和田生まれ。文化服装学院在学中よりキャリアを重ね、東京、ローマ、上海、ソウルなどでコレクションを発表、2009年からは17年ぶりにパリコレクションも再開。近年は書画作品の展覧会も多数開催している。1997年第15回毎日ファッション大賞受賞、01年大阪芸術賞受賞。
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