コロナが明らかにした世界経済システムの大問題 「ネオリベラリズムによる秩序」は終わるのか

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2020年、新型コロナウイルスは航空機や高速列車とともに世界中に拡散した。

2020年の中国湖北省武漢市は、出稼ぎ労働者をたくさん抱える裕福な大都市である。春節(旧正月)を祝うために、住民の半数が武漢をあとにした。新型コロナウイルスが武漢から中国全土に、さらに世界へと広まるまでにほんの数週間しかかからなかった。

その1年後、世界は揺れていた。現代の資本主義の歴史のなかで、世界の95%近くの国において、ひとり当たりのGDPが一斉に縮小する事態は、2020年前半を除いてこれまでになかった。

混乱する日常生活

世界中で30億を超える成人が一時解雇を言い渡されるか、慣れない在宅勤務を命じられた。16億人近い子どもたちが学校閉鎖に見舞われた。

家庭生活は前例のない混乱に陥った。世界銀行の試算によれば、現在、生徒である世代が、人的資本の放棄によって失う生涯賃金は10兆ドルに及ぶという。

世界がシャットダウンを望んだという点で、今回の事態はこれまでの景気後退とはまったく性質を異にした。誰が、どこで、どのような条件の下でシャットダウンの意思決定を行ったのか。それを描き出すことは、本書の極めて重要な責務である。

シャットダウンによる混乱は、GDPや貿易、失業者の統計に表れる数字をはるかに上まわった。ほとんどの人にとって、日常生活がこれほど搔き乱された経験は初めてだった。

ストレスや抑うつ、精神的な苦痛に悩まされた。2020年も終わる頃には、新型コロナウイルス感染症に関する専門的調査の大部分は、混乱が精神衛生に及ぼした影響について調査していた。

2020年にどんな体験をしたのかは、住んでいる場所や国籍によって異なった。アメリカと英国にとっては、単に公衆衛生上の緊急事態か深刻な景気後退に見舞われただけではなかった。

「トランプ」と「ブレグジット」という言葉に集約される国家危機の高まりにも、対処しなければならなかったのだ。

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