悪いところを“総取り”
――オミクロン株はなぜこんなにも警戒されているのでしょうか?
デルタ株以降、“大物”の変異株はあまり出てこなかった。WHOがデルタ株をVOC(懸念すべき変異株)として指定したのは2021年4月。その後ラムダ株が6月、ミュー株が8月にVOCの前段階である
オミクロン株はデルタ株に代わって拡大している地域もあるようなので、久しぶりの“大物”になるかもしれない、ということだ。
その可能性の根拠として考えられているのは、ヒトの細胞に感染するときの足がかりになる「スパイクタンパク質」に起きている変異が、従来とは比べものにならないほど多いことだ。
スパイクタンパク質は、いくつものアミノ酸が連なって構成されている。ラムダ株であれば、その内7カ所のアミノ酸が別のものに変わる変異が起きている。一方のオミクロン株では30カ所以上のアミノ酸が変異しており、これまでVOCに指定されたどの変異株と比べても明らかに数が多い。
単に変異の数が多いだけではない。イギリスや南アフリカで最初に確認されたアルファ株やベータ株、インドで確認されたデルタ株など、これまで感染が拡大した変異株の悪いところを総取りしたような特徴がある。
――総取り、ですか?
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