ウイルスの変異は当たり前にある
――オミクロン株とはどういうものと解釈すればいいのでしょうか。
ウイルスの変異は当たり前にある。そこではどこの部位でどういう変化があるのかが問題になる。今回の場合は感染や病態に関連のあるウイルス表面のスパイクタンパク質の構造を決定する遺伝子(設計図)に多数の変異が見られているということで注意を引いている。
少し前までは、病気の症状が先行して、急に広がったとか、重症化しやすいとか、感染しやすいということで調べてみると、ウイルス遺伝子が変異していることがわかった。
それが今は先読みができる。見つかったウイルスを丁寧に調べてみると、感染などに関連する部分の遺伝子に変異があることがわかってきた。しかし、それはウイルスが変異しているのであって、それと人の病気との関連性は必ずしも一致していない。関連がある場合も、関連がない場合も、あるいは薄い場合もある。
以前は病気をみて、ウイルスをみたから、病気の変化がウイルスの変化によるものといえた。ところが、ウイルスの変化が病気の変化にあらわれるともいえない。ウイルスをみて人への影響はどうか、入り口は見えても先がまだ見えてこない。可能性はいろいろ考えられるが、実態がどうかは今の時点ではわかっていない。
実態を見るためには、動物実験や、患者・感染者の状況を知る疫学調査が必須だ。ウイルスの変化の結果としてどういうことが表れるのか、調べなければいけない。これには長い時間は必要としないが、一定の時間は必要で、おそらく2~4週はかかるだろう。
とはいえ、手をこまねいてみているわけにはいかない。ある程度可能性があれば対策をとらないといけない。それは行政や医療関係者のプロの側のやることだ。
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