岸田政権が発足して、もうすぐ2カ月だ。岸田政権の新型コロナウイルス(以下、コロナ)対策を論じたい。
政権発足直後、岸田政権は厚生労働省の既得権に切り込んだ。その象徴が「幽霊病床」対策だ。厚労省傘下の独立行政法人は、コロナ患者対応のために、巨額の補助金をもらいながら、患者を受け入れてこなかった。第5波では入院できない患者が自宅で次々と亡くなっていたのに、政府のコロナ感染症対策分科会の会長で、独法の地域医療機能推進機構(JCHO)の尾身茂理事長は「最大限やっている」という主張を繰り返してきた。菅前政権は、このような対応を容認してきた。
国民が知った焼け太りの実態
岸田政権は違った。10月11日に開催された財務省財政制度審議会の分科会で、この問題を取り上げ、財務省はJCHO、国立病院機構(NHO)の詳細な財務データを提示した。この資料をマスコミが報じ、国民は焼け太りの実態を知った。その後、岸田文雄首相は「病床確保に当たっては、国立病院機構法等に基づく要求など、国の権限を最大限活用し、必要な医療体制を確保します(10月15日、コロナ感染症対策本部会合)」などの方針を示した。
第6波対策では、病床確保が喫緊の課題だ。感染症対策の基本は「選択と集中」。コロナ患者を受け入れれば、通常の患者は受診を避ける。この結果、赤字が長期化する。通常の運営経費の赤字を補填する法的・財政的な枠組みがあるのは、国公立病院だけだ。JCHOなどが率先して受け入れるのが合理的だ。岸田政権の対応は見事である。
岸田政権の「ファインプレー」は、これだけではない。アメリカ・メルク社が開発に成功した経口薬モルヌピラビルの調達も見事だった。
10月1日、メルクは、軽症~中等症の患者を対象に、重症化あるいは死亡のリスクを半減させたという第3相臨床試験の結果を公表した。コロナ特効薬の誕生だが、実は、世界では、この時点ですでに多くの契約が成立あるいは大詰めを迎えていた。
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