「オミクロン株」科学者たちが強く懸念する理由 これまでにない早さで研究が始まっている
新型コロナウイルスの猛威が再び世界中に広がる恐れが出ている中、各国はアフリカ南部からの空路を遮断している。そのような状況下、11月28日、研究者たちは新たなオミクロン株のデータを集めるために奔走した。調べたいのはオミクロン株の能力と、そして、おそらく最も重要と思われる、現行のワクチンがこの変異株に対してどれくらい有効かということである。
初期の調査結果は複雑なものだった。取材に答えた専門家の話によれば、この変異株はこれまでのウイルスの株よりも感染力が強く、ワクチン接種、および自然感染両方に対する身体の免疫反応を回避する能力が高い可能性があるという。
実態把握には数週間を要する
ワクチンが重症化や死亡を防ぐのに効果的であることに変わりはないものの、多くの人々を守るためには、ブースター接種が必要になるかもしれない。しかし、最も効果のある2つのワクチンを製造するファイザー/ビオンテックとモデルナはまだ、必要があればワクチンの組み換えを行うため、準備をしている段階である。
「われわれは切実な問題としてこの新たな変異株に警戒し、備える必要がある」と、シアトルにあるフレッド・ハッチンソン癌研究センターの進化生物学者、ジェシー・ブルーム氏は話す。
「おそらく数週間のうちには、この変異株がどの程度広がっているのか、そして変異株ワクチンの開発を進める必要性がどの程度あるのかということについて、より深く把握できるだろう」と、ブルーム氏は言う。
科学者たちがこの新たな変異株について精力的な調査を開始した一方で、世界中の国々はオミクロン株が最初に確認されたアフリカ南部諸国との往来を遮断した。こうした制限にもかかわらず、このウイルスはイギリスを含むヨーロッパ6カ国のほか、オーストラリア、イスラエル、香港でも見つかっている。
現時点ですでに、南アフリカのハウテン州で1日に新たに確認される2300件の症例のほとんどをオミクロン株が占めている。シリル・ラマポーザ大統領は28日、こう発表した。全国的に、新しい感染者の数はここ1週間で3倍以上になり、検査の陽性率は2%から9%に上昇した。