新型コロナ変異株リスクにも米国株が強い理由 日本株が56兆円経済対策でも上昇しにくいワケ

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パウエルFRB議長(左)の再任が決ったことで金融政策の不透明性はかなり消えた(写真:ロイター/アフロ)

アメリカ株市場(S&P500種指数)は10月中旬に反発して、再び最高値を更新した。11月も途中までは最高値圏での推移を保ち、年初来リターンは約25%(11月19日時点)と、欧州や日本株のリターンを上回っている。

南アフリカで新型コロナウイルスの変異株が見つかったこともあって、26日にアメリカ株は急落した。ただ、コロナ禍からの経済の高成長がもたらした企業業績の拡大が株高を支える構図は変わっていない、と筆者は認識している。

一時的な減速を除けばアメリカ経済の高成長が2021年も続いていることに加えて、10月16日配信のコラム「アメリカ株を揺るがす『4つの懸念材料』とは何か」で述べたが、9月のアメリカ株の調整をもたらした4つの悪材料への懸念が、筆者が想定したとおりに和らいでいることが、最高値更新を伴う反発をもたらしたといえる。さらに、年末まで一段の株高となり、2019年(騰落率28.9%)を超える、年間の株価上昇率となる可能性があるとみている。

もしパウエル議長退任ならどうなっていたのか

秋口の金融市場の最大の関心事の1つは、2022年以降の金融政策を指揮するFRB(連邦準備制度理事会)の議長人事だった。民主党内の対立が、人事プロセスが遅れた最大の理由とみられるが、11月22日にジョー・バイデン政権は、ジェローム・パウエル議長の再任とラエル・ブレイナード理事の副議長指名を発表した。

民主党のプログレッシブ派の意向を受けて、ブレイナード氏が議長になるとの思惑が高まっていたが、ブレイナード氏を金融政策担当の副議長に任じてパウエル議長とタッグを組む体制にする、という政治的な対応になったとみられる。

政治的な経緯はともかく、ジャネット・イエレン財務長官と見解を共有することが多い、ハト派に位置づけられるパウエル、ブレイナードの両氏が組み、今後の金融政策を担うことが決まったことは、今後のアメリカの経済・金融市場の不確実性を低下させる。

仮にブレイナード議長の場合は、パウエル氏が退任していただろうから、FOMC(連邦公開市場委員会)執行部が大きく変わるリスクがあった。筆者が考えていた株式市場にとっての4つの悪材料の中で、FRBの金融政策と人事はインパクトが最も大きいと考えていたので、アメリカの株式市場にとって朗報だろう。

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