足元でのオミクロン変異株の登場に加えて、アメリカのFRB(連邦準備制度理事会)の「タカ派化」が鮮明になっている。このため、同国株の調整リスクは筆者の従来想定より高まっており、目先は株式市場に対して慎重に臨むのが望ましいと考えている。
ただ、2021年の世界の株式市場を振り返ると年初来のリターンは、アメリカ(S&P500 プラス20.8% 12月3日時点、以下同様)、ヨーロッパ(Stoxx600 プラス15.9%)など多くの国で2桁以上とかなり好調である。
こうしたなかで、香港ハンセン指数はマイナス12.7%と大幅なマイナス、上海総合指数はプラス3.8%とわずかなプラスとなっており、2021年の株式市場の中での「中国株の負けっぷり」が顕著になっている。
何が中国株式市場の停滞をもたらしたのか
中国株市場の停滞をもたらしたのは、新興ネット企業などへの政府による強い活動制約とゼロコロナ政策の徹底が、経済成長を抑制したことだ。中国の経済統計の信憑性は高くないが、2021年1~3月期から7~9月期まで中国のGDP(国内総生産)成長率はかなりの停滞が続き、同期間の経済成長率は年率換算ベースで約2%まで減速した。
中国は10~12月期も同様の低成長とみられ、2021年に5%台の高成長を謳歌したアメリカを下回る経済成長に甘んじたと位置づけられる。依然1人当たり所得水準が低い中国にとってはかなりの低成長であり、長期的に中国経済が衰退に向かうフェーズに入った可能性もある。
中国の政治動向をみると、11月に6中全会が開催され、史上3回目の歴史決議が採択された。このなかで、2012年以降から続く習近平国家主席の実績が歴史的な決議として権威づけされ、2022年以降も続くとみられる習近平体制の権力基盤が強まったとされている。
中国の政治情勢について門外漢である筆者にとって、歴史決議の政治的な意義や重要性を正確には判断できない。ただ、習近平体制の政治基盤がより強まり、同氏が唱える「中国の夢」「共同富裕」という政治スローガンが強まる可能性が高まったと考えている。
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