今起きている円安の一体どこが悪いというのか

経済を知らない経済官僚に依存してはいけない

円安の局面が長期化しそうな気配だが、筆者は歓迎すべきだ、と主張する。なぜだろうか(写真:jessie /PIXTA)

アメリカ株が9月初旬に最高値まで上昇したあと、下げに転じた時点で、筆者はアメリカ株の調整は長引かないと述べた(「米国株の下落は長引かないと明確に言える理由」、9月30日配信)。実際、7~9月期の企業決算発表を控えた10月14日ごろからアメリカ株は持ち直し、10月21日にS&P500種指数は最高値を再び更新して上昇した。

中国恒大集団の債務不履行、アメリカの債務上限問題、FRB(連邦準備制度理事会)の資産買い入れ縮小などへの懸念が和らぎ、一方で夏場の景気減速が限定的で企業業績が堅調だったことが好感され、短期間で株価が反発したといえる。

アメリカ企業の決算に対する事前の懸念として、サプライチェーンの目詰まりや資源価格上昇が利益の下押し要因になることが挙げられ、決算発表でもいくつかの企業がこれらを指摘している。ただ、サプライチェーンに滞りがあっても、アメリカ経済全体では高成長が続き、売り上げが増え続けており、資源高によるコスト増は売上増で総じて吸収できる状況にある。

2021年末まではこの状況が続く見込みで、アメリカ株市場が大きく崩れる可能性は低いと筆者は引き続き判断している。

1970年代と現在の経済状況はどこが違うのか

WTI(ウェスト・テキサス・インターミディエイト)市場の原油先物価格が1バレル=80ドル台を大きく超えて約7年ぶりの水準に上昇し、欧州での天然ガス価格が急騰したことなどで、資源高と景気減速が併存する、いわゆるスタグフレーションが引き続き話題になっている。

「アメリカ株を揺るがす『4つの懸念材料』とは何か」(10月16日)でも述べたが、そもそも1970年代に起きたスタグフレーションについては、資源価格上昇はきっかけの1つにすぎない。当時、経済が完全雇用にある中で先進国の金融財政政策が景気を過熱させたことが、スタグフレーションの主たる要因と筆者は考えている。

そして、コロナ禍からの回復途上にあるアメリカの失業率などを踏まえれば、経済状況は1970年代とはほど遠く、2022年以降にアメリカの金融財政政策が景気刺激的に作用する可能性は高くない。

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