ここで「無添加のだしの素」に話を戻しましょう。
「無添加だし」のカラクリ
「無添加」とは「何をもって無添加か」というと、「②うま味調味料(化学調味料)」をはじめとした食品添加物を添加していないから「無添加」というのです。
でも何のことはない、多くの場合、「無添加だし」は「うま味調味料」の代わりに「酵母エキス」で置き換えただけです。
「①食塩」と「③たんぱく加水分解物」はそのままか、あるいは「③たんぱく加水分解物」を別のエキスなどで代用している場合もあります。
では 「酵母エキス」とは何でしょうか。
「酵母エキス」は、酵母から抽出されるうま味の素で、「ビール酵母」やうま味専用の「トルラ酵母」が利用されます。「トルラ酵母」は専用の培地で培養され、うま味の主成分は「核酸」(イノシン酸など)ですが、培養技術によって「グルタミン酸」も作り出し「トルラ酵母」に含まれるようになりました。その結果、より「うま味」が強く出るようになったのです。
その後、数々の酵素反応によってエキスを抽出して作られるのが「酵母エキス」ですが、「酵母エキス」は「グルタミン酸ナトリウム(うま味調味料)」と「核酸系調味料」と合わせた味に非常に似ているのです。ちょっとうま味は弱いけれど、代用は可能です。
そしてポイントは、「酵母エキス」は食品添加物指定はされていないため、「食品添加物」ではないこと。ですからこれを「うま味調味料」の代わりに使えば「無添加」とうたえるというわけです。
ちなみに「酵母」というと「ビール酵母」「酵母菌」などを連想してなんだか体によさそうなイメージがあるかもしれませんが、「酵母エキス」は「酵母そのもの」とは別物です。
「酵母エキス」は最近は中国からの輸入も増えていますが、輸入が間に合わないほどの人気商品となっています。
私が16年前に出した『食品の裏側』は「無添加ブーム」を牽引したと言われますが、「酵母エキス」はまさにこの「無添加ブーム」に乗って、売り上げを伸ばしてきた感があります。
「無添加ブーム」を裏で支える立役者といったところでしょうか。
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