安河内:これは文科省のみなさんの受け売りなのですけれど、実は公立の学校ではけっこう改革が進んでいるようなのですね。この10年間で、かなり改革が進んだそうで、私が視察に行った中高に関しては、4技能指導はかなりのレベルで実現していました。
遠藤:いい学校を見に行ったんじゃない?(笑)。私の直感としては、40歳ぐらいまでの英語の先生であればかなりリスニングもスピーキングもできる。でも、そこから上の世代の先生は、比較的読み書きだけなんじゃないかと。読み書きのみの先生をどうやってカバーしていくかは、ちょっと時間がかかる気がしているのです。
安河内:文科省的な言い方をすると、指導要領は10年以上前から、4技能型に変わっていて、指導要領のとおりにやるようにと、先生には強く求めてきたようです。若い世代の先生はかなり変わってきているそうです。
遠藤:そう、若い世代はね。
安河内:団塊の世代の先生が近い将来、大量に定年退職されますね。そこで一気に変わるとも言われています。
熱心な高校の先生は4技能化の入試を熱望!
安河内:それからもうひとつお伝えしておきたいことがあるのです。遠藤議員のところには、やはり大学入試の4技能化の反対意見ばかりが来ると思うので……。
遠藤:うーん、まあ賛成3、反対7ぐらいかな?
安河内:私のところには、高校の先生から、逆に早く4技能の試験に変えてくれという声がすごく多く寄せられるのです。先日、関東圏の高校の英語の先生300人を前に講演をしました。そこでは「何をもたもたやっているんだ。早く4技能試験に変えてくれ」という声が大多数を占めました。私の講演だからかもしれませんが、全国を回っていても、私の周りでは、そういう声ばかりです。軽く見積もっても、4技能化に賛成の先生に、今年だけでも数千人は出会ったのではないかと思います。
遠藤:ああ、うれしいですね。
安河内:自分たちが現場で本当に4技能を教えたいのに、大学入試はなぜ変わろうとしないのか? 私の周りではそう口にする英語の先生が圧倒的に多いのです。
遠藤:ご存じかもしれませんが、仙台に宮城明泉学園という幼稚園があります。4歳、5歳児で1200人ほどいるのですが、募集定員がすぐに満杯になるほど人気。そのうち半分の園児は1日40分だけ英語の時間があるというクラスで、あとの半分は1日40分だけ日本語で残りの時間は全部英語というクラスなのです。
ここを卒園した小学生を対象にした補修校のようなものがあるので、小学校のときはまだいいのだけれど、中学、高校では受験英語に変わってしまうので、それまで培ってきたものが維持できず、もったいないと嘆く父母の方が多いというのです。
そういった話を聞くたびに、「結局のところ大学受験が変わらないと、小中高大間での維持、連動が永遠にできずに「もったいない」で終わってしまうと痛感しています。
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