安河内:英語教育全体のあり方に対する有識者会議での議論、そして小委員会での議論を通じて、その案はかなり進んできています。三木谷さんの提案で大学入試だけについて話し合う場を作らなければダメだという話になり、大学入試に特化した小委員会が発足したのです。その会議の席で侃々諤々の議論をして達した結論が、公正に4技能試験を評価する協議会を設置すべきとうことだったんですね。
公正に評価する機関として協議会が存在しなければ、大学側が適切な情報を得ないまま、合っていない試験を使うことになってしまう危険性があります。
遠藤:なるほど、よくわかりました。
安河内:遠藤議員からは「もたもたするな! 急げ!」と、檄を飛ばしていただきたいのです。改革案が立ち消えになってしまうのがいちばん怖いですから。
遠藤:文科省には強く言い続けないと、動きが止まっちゃうからね。でも、彼らも評価されるような仕事を与えると、すごく頑張りますからね。
安河内:文科省のみなさんは、本当に国のために身を砕いて努力されており、頭が下がります。この件に関しては、問題意識がみな同じで、ここで大学入試を変えないと、全部が立ち行かなくなるという共通認識があるのだと思います。
すでに始まりつつある大学入試の4技能化
安河内:実は、大学入試の4技能化はすでに動き出しています。法律が変わり、大学の学長の権限が強くなっていることもあり、動きが加速しそうです。
遠藤: 大学受験から英語の試験を外すと?
安河内:そうです。たとえば上智大学では、もう来年に、入試の一部は4技能になっていきます。ほかにも、ある国立大学は3年後に入試の英語を4技能化すると発表しています。これから、遠藤議員のような政治家から、どんどん大学に働きかけていただきたいのです。もちろん、反対も大きいかもしれませんが。一部の英語の教授の方々からの……。
遠藤:そうそう! 私に反対のメールをくれたのは、まさにそういった人たちでしたね。大学の英語課の教授から反対が多かったです。教育学部の英語の教授とかね。
安河内: 日本に何百もの大学があって、各大学に複数の学部があります。そして、英語の入試問題は各学部で作られることが多いんですね。
遠藤:あ、そうなの?
安河内:ですから、数百の入試問題が毎年作られるのです。数百の入試問題が毎年、作られるとすると、数百人の先生が作成にかかわりますね。もちろん、そうすると、どうしてもテスト機関が作る統計理論を駆使した試験に比べるとクオリティが下がってしまうのですが、テストを自分たちで作り続けたいという先生もまだ多いのです。
また、4技能の試験で入ってきた学生は教えにくいのではという不安もあるようですね。
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