小学校英語は今、5年生からのスタートを3年生にまで下げることにしていますが、中高で同じ時間をやり、なおかつ小学校での時間も増やしている。しかし、カリキュラム全体の授業時間は決まっているので、だったら、たとえば中高の英語の時間を減らしてでも小学校に下げたほうがいいのか? そのうえで継続性を持たせる工夫をしたほうがいいのか? そんな可能性も探っています。
安河内:私の意見では、大学受験が変われば、今ある文科省の政策を微調整してやっていくだけで、かなりうまくいくようにいくはずです。今年1月に出たグローバル化に対応した英語教育改革案ですね。ただし、大学受験を変えないと、それまでの先生方の努力、そして投入した予算が無駄になってしまうと思います。
遠藤:大学受験の4技能化ね。
安河内:そうです。極端に難しい4技能のテストにしないで、いろんなテストを組み合わせて使う。そして、テスト機関に妥当性を競わせればいいのです。
遠藤:大学受験の英語4技能化を自由民主党内で提案したときも、とても批判が強かった。けれども、結局、大学受験を変えないかぎり、その下は変わらないということを言いました。そして、昨年春、最初の案を出したときは反対がおよそ8割だった。
安河内:私も「TOEFL iBTへの一本化」には大反対です。でも、「TOEFL iBTを含むさまざまなレベルの4技能試験を使うこと」には大賛成です。この2つの選択肢は、似ているようで大違いなのです。私の周りの多くの先生も同意見です。
遠藤:そう、だから最終取りまとめで「など」と明記したのはそのためです。IELTS(International English Language Testing System)は名乗りを上げるのが早かったですしね。
遠藤議員へのお願い
安河内:もうひとつ遠藤議員にお話したいのは、TOEFL iBTは「アメリカ英語」のテストだということです。もちろん、アメリカは世界の中で大きなプレゼンスを占める国ですから、TOEFL iBTが選択肢の中のひとつとして入っている分にはよいと思います。ただTOEFL iBTオンリーにするのは、日本として危険な選択だと言わざるをえない。
遠藤:私も最初、議論したときはTOEFLしかないと思っていた部分があるのですが、すぐIELTSが「うちもやっています」と名乗りを上げてきた。イギリスだけでなく、旧イギリス植民地の国ではIETLTSを使っていると聞きました。
安河内:アメリカ、イギリス、そして日本独自のものと、いろんな4技能の試験を、協議会で公正に評価する仕組みを作りさえすれば、これらのテストの特徴を使用者がよく理解したうえで安全に使えるはずです。
ここで遠藤議員にお願いがあります! 政界からも、日本独自の試験である英検のスコア化を急がせていただきたい。また、入試英語4技能化の実現に向けて、強く大学側に働きかけていただきたいと思います。細かい作業は私たち英語教育関係の人間が動き回りますから、ぜひこの2つをプッシュしてください。
遠藤:協議会の設置はまだなのですか?
無料会員登録はこちら
ログインはこちら