照明を多く使う黒澤監督の撮影現場
――時代劇の制作本数が減り、時代劇を継承することが難しくなっています。監督は、黒澤明監督からいろいろなものを継承されたと思うのですが、時代劇をめぐる状況をどのように見ていますか?
最近は日常生活で着物を着る機会がなくなっている。そんな中、かつらや所作といった時代劇の技術は経験の積み重ねですから、それをいきなりやろうとしても難しい。経験を重ねなければならないのですが、そういう機会が少ないのは本当に残念です。映画の場合は、フィルムに映ったものに説得力を持たせないといけないのですが、それはやはり経験を重ねないとそうはいかない。
――小泉監督の撮影現場では、数台のカメラを用意して、様々なアングルから一気に芝居を撮影するという黒澤監督のスタイルを踏襲しているそうですが。
フィルム撮影の場合はライティングが大変なのです。ある程度の光量がないと映らないですから。2台、3台のカメラを使うとなると、ライティングは両方からきちんと当てなくてはならない。カメラが1台だけだったら、片側だけ当てればいいですが、2台、3台ともなると、反対側からもきちんと当てなくてはならなくなる。そもそも光源というのはだいたいどこかに一個で決まっているもの。ろうそくがあったら、そこから出た光を基調にしないと不自然になる。フィルムの場合、そこから作るのがなかなか難しいのです。それも技術の継承ということになると思いますが、それを照明さんがよく作ってくれたなと思います。
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