「海外ドラマは長すぎる」という人にお薦め
海外ドラマは長いから見る時間がないという人、または海外ドラマにはあまり興味のない映画ファンは、ぜひとも秀作の多いTVムービーに注目してほしい。
第21回は、昨年のエミー賞で作品賞を含む11部門を制覇したTVムービー『恋するリベラーチェ』(日本では劇場公開された)を紹介する。スティーヴン・ソダーバーグ監督、主演はマイケル・ダグラスとマット・デイモンというビッグネームがそろい踏みだ。
参考までに、アメリカのTVドラマにおけるTVムービーの位置付けを説明しておこう。
先月、米ロサンゼルスで開催された第66回エミー賞(Primetime Emmy Awards)受賞式の結果をお伝えしたが、本連載でこれまでに取り上げてきた作品は、エミー賞ではドラマ・シリーズ部門、コメディ・シリーズ部門にカテゴライズされる作品が主である。そのほかに、基本的に10話前後、そのシーズン限りで完結するミニ・シリーズ部門と、2時間程度のTVムービー部門がある。後者の2部門は、現在のように映画界の人材がTVに流入する以前から映画スターの活躍が目立つカテゴリーではあったが、近年はどこの映画賞なのかと思うほど豪華な顔ぶれとなっている。
『トラフィック』でアカデミー賞監督賞を受賞し、『オーシャンズ』シリーズのヒットメイカーでもあるソダーバーグは昨年、映画監督の引退を宣言し、活躍の場をTVにシフトしていることを、映画ファンならご存じだろうか。
近年は『ハウス・オブ・カード』のデヴィッド・フィンチャー、『ボードウォーク・エンパイア 欲望の街』のマーティン・スコセッシほか、映画スターだけでなく、作り手も映画界からTV界へ本格的に参入している。
だが、さすがにソダーバーグの「映画監督引退」という決断は、業界内外に大きな衝撃を与え、波紋を呼んだ。ソダーバーグほど映画界で才能を発揮してきた監督が、なぜ世界に冠たるアメリカ映画界の第一線から退いたのか。その理由の一端を見ることができるのが、TVムービー『恋するリベラーチェ』である。
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