あの大物俳優たちがゲイカップルに!? 名匠ソダーバーグ、活動拠点を映画からTVへ

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世界の映画の中心地であるハリウッドは、スターシステムをはじめ、制作費の高騰などによって、ますます革新的、実験的な企画は通りにくくなっている。アメコミ大作や3Dなどの予算は大きくなる一方で、小規模ながらも意義のあるインディペンデント映画が成立しにくくなっているのが現状だ。

インディペンデント映画はTVに吸収されていく

では、従来のインディペンデント映画は、どこへ向かっているのか? その受け皿となっているのが、HBOを筆頭とするTVなのだ。HBOは作家性を重んじ、視聴者数に左右されることなく、良質のものを作ることにプライドを持ち、それを支えるだけの資金力もある。高い視聴料を払う視聴者に対して、コンテンツの質こそが命だということをよくわかっているのだろう。今後インディペンデント映画は、こうした形でますますTVに吸収されていくと考えられている。

今のアメリカのエンタメ業界において、TVにかつてないほどに優秀な人材がひしめいている理由のひとつが、おわかりいただけたかと思う。それこそが今、アメリカのTVドラマに注目するべき理由でもあるのだ。

今夏、ソダーバーグが手がける『The Knick』(原題)というミニ・シリーズはHBOの姉妹チャンネル、Cinemaxでスタートして話題を呼んでいる。

20世紀初頭のニューヨークの病院を舞台に、主人公の外科医とスタッフらの人間模様を描いたシリーズ。主演は、映画でおなじみのクライヴ・オーウェ ン。貧困や差別などの社会問題を盛り込みつつ、当時の手術シーンの再現はかなりグロテスクで、ほとんどホラーのようでもある。製作総指揮を務めるソダーバーグは、全10話の監督のほか、撮影と編集もすべてひとりで行うという力の入れようで、非常に作家性の強い作風となっている。ミニ・シリーズとして始まったが評判は上々で、シーズン2の放送も決定しており、来年の賞レースをにぎわせる存在となる可能性が高い。

今 祥枝 映画・海外ドラマライター

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いま さちえ / Sachie Ima

東京女子大学文理学部卒。大学在学中、専門学校で映画製作の基礎を学び、卒業後は出版社で雑誌編集業務に携わる。28歳で映画・海外ドラマを専門とする現職に。『BAILAバイラ』で「今ドキ シネマ通」、『日経エンタテインメント!』で「海外ドラマはやめられない!」ほか、女性誌・情報誌・ウェブ等で連載中。著書に『海外ドラマ10年史』がある。

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