空前の大ヒット監督、「タイの映画事情」を語る

「国内映画が発達している日本は特殊です」

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 タイでは『アナと雪の女王』『アバター』の興収記録を超え、タイの歴代ナンバーワンヒット作を記録した『愛しのゴースト』が10月18日より全国公開されている。
 チャクリー王朝初期のプラカノーンの村で非業の死を遂げた女性ナークが、戦場に赴いた夫への未練ゆえに悪霊となり、おぞましい災いをもたらしたという、タイ国民なら誰もが知る有名な怪談「プラカノーンのメーナーク」。その恐ろしくも切ない悲恋物語であるオリジナルのテイストを受け継ぎつつも、意表を突いたスラップスティック・コメディのエッセンスを加味するという大胆なアレンジで再構築した本作。新感覚エンターテインメントとして昇華させている。
 本作のメガホンをとったのは、海外映画祭での受賞歴も豊富なタイのヒットメーカー、バンジョン・ピサンタナクーン監督。緩急自在の洗練された語り口で、タイの若者たちを熱狂させたピサンタナクーン監督にタイ映画の現状について聞いた。

映画館に行ったことのない人を動かした

――タイでは本作が、『アナと雪の女王』を抜いてナンバーワンを記録したそうですが、監督自身はヒットした理由をどう分析しているのでしょうか?

自分ではなぜヒットしたのかは分からない。自分が観たい映画を作っただけですから。(タイ人なら誰でも知っている)「プラカノーンのメーナーク」の伝説を映画化した作品としては、すでに決定版ともいうべき作品があるので、もし僕がやるとするならば、まったく新しい形のものにしたかった。「プラカノーンのメーナーク」の伝説は、妻の側から語られることが多いが、それを夫側の視点から描き、さらに愉快な仲間たちを一緒に登場させた。それこそが本当に僕の観たいものだったのです。

――『愛しのゴースト』はどれくらいの公開規模だったのですか?

大作が何本も公開される時期でしたが、『G.I.ジョー バック2リベンジ』と同じくらいのスクリーン数だったと思います。『愛しのゴースト』の前評判が高かったので、『G.I.ジョー~』は公開を1日早めたほどです。それでも初日の成績はGIジョーを抜いたんですよ。

――劇場にはどのような人が映画館にやってきたのでしょうか?

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一週目に劇場にやって来たのは、若者を中心とした働いている世代の人たちでした。これは一般の観客のターゲット層でもあります。コメディ要素があり、しかも面白くて泣ける作品だとして、まずは映画を観た彼らの中から評判になりました。そこから口コミが広がって、小さな子どもから80歳の高齢者まで来場したと聞いています。80歳過ぎた人からは「生まれて初めて映画館に行ったよ」と言われたこともありました。

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