空前の大ヒット監督、「タイの映画事情」を語る

「国内映画が発達している日本は特殊です」

――タイのヒットチャートではハリウッド映画が数多くランキングするとのことですが、そんな中でなぜタイの映画がヒットしたのでしょうか?

観客の皆さんがこの映画を気に入ってくれたからだと思う。劇場では手を叩いたりして、大笑いしてくれた。最初に友人と観た人が、次には家族や両親を連れてきてくれたりと、何度も劇場に通うリピーターが増えた。それが何度も繰り返されて、ヒットにつながったのだと思います。

タイ人は表現がはっきりしている映画が好き

――たとえば日本人は泣ける映画が好きな人が多いのですが、タイの人はどういう映画が好きなのでしょうか?

バンジョン・ピサンタナクーン●1979年生まれ。チュラーロンコーン大学で映画を学び、1999年に卒業。2004年、パークプム・ウォンプムと共同で監督した初長編『心霊写真』(04)が、タイの年間興行収入ナンバーワンを記録。2008年には『シャッター』としてハリウッドリメイクされた。以降、『Alone』(07)、『Phobia 2』(09)、『アンニョン!君の名は』(10)などを発表。『アンニョン!君の名は』は2010年の興収1位を記録し、インドネシア、シンガポール、オーストラリアでも好成績を獲得した。(撮影:田所千代美)

表現がはっきりしている映画が好きですね。面白い映画なら、腹の底から笑えるもの。怖い映画なら、とても怖いもの。泣ける映画なら、泣ける映画が好きですね。そういった映画を観た人が、すごく泣けたよとか、すごく笑えたよといった具合に口コミが広がるんだと思います。タイで映画を観るのは、若い人が中心。彼らは欧米人ほどではないにせよ、それでも感情をストレートに表現するので、笑うときは笑うし、怖がるときは本気で怖がるのです。日本人はあまり感情を表に出さないですが、それも文化の違いなんでしょうね。

――タイの歴代ランキングを見ると、ハリウッド作品が多くランクインしています。

確かにほとんどがハリウッド映画が観られていますね。タイ映画でトップテンに入っているのは、ナレスワン大王(日本のDVDタイトルは『THE KING』)やスリヨータイ王妃(『レジェンド・オブ・スリヨータイ』)のような歴史映画が多いんです。もちろんタイの映画人もハリウッド映画の影響を受けています。でも、やがて自分らしさに気付くようになり、タイ人らしい映画を作るようになるんじゃないかと思います。でもハリウッド映画が強いというのは、世界的な傾向ですからね。国内の映画が発達している日本は本当に特殊な国だと思います。タイもそうなりたいです。

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