――現在のタイ映画の年間制作本数は30本ほどと聞きましたが。
もちろんその年によって制作本数は変わります。100本くらい制作されたような黄金時代もあれば、10本くらいに落ち込んだ年もありました。しかし、『愛しのゴースト』がヒットした後は、タイ映画も儲かるんじゃないかと思って、投資をしてくれる人が増えてきました。でもほとんどが赤字ですね。タイには優秀な脚本家が足りないんです。それをどうにかしないと、タイ映画をめぐる現状は変えられないと思います。
(『愛しのゴースト』と同じ題材を扱った)『ナンナーク』を撮ったノンスィー・ニミブット監督は、タイ映画の救世主と呼ばれていますが、彼はCM業界から映画界に転身した人で、そこからプロダクションの質が上がったんです。そこからタイ映画に興味を持つ人が少しずつ増えてきたんです。
CM制作はテクニックを磨くのに役立つ
――タイでは人材輩出の場としてCMがあるということなのでしょうか?
CM出身の監督もいれば、テレビ出身の監督もいます。自分はCM出身ですが、CMは非常に丁寧に映像を作る業界なので、質の高い映像が作られる。テクニックを磨く上ではとてもいい環境だと思います。
――『愛しのゴースト』がタイ映画復権の起爆剤になるんじゃないですか?
そうだといいのですが。実際に観客動員数(およそ600万人、タイの人口は約6700万人)を聞いて、タイにも潜在的な観客がいるんだというのが驚きでした。劇場は連日満席という状態は久しぶりの現象だったんです。
タイ映画界を盛り上げるためにも、こういう作品が続けばいいのですが、それがいつ出てくるのかは分からないですね。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら