元々法学部生だった元榮氏はこの体験を元に弁護士を目指す。司法試験に合格し、アンダーソン・毛利法律事務所でM&Aを担う弁護士として働き始めた。その際に新興企業のM&Aを手掛けることがあり、インターネットと法律で何かできないかと考え始めたという。
「大学2年生の交通事故の時にいきなり弁護士に相談すると高額な相談料を取られるのではないかと不安を感じていました。実際は30分5000円で済んだのですが、そういった情報に簡単にアクセスできない。“法律をもっと身近に感じることができるサービスがないか”と思い、探してみましたが見つかりませんでした。だったら自分でやってみようと思い、法律×インターネットという軸での起業を考え、法律事務所を飛び出しました」
弁護士数増加でマーケティング需要拡大
元榮氏は2005年に弁護士ドットコムをリリース。2014年で運営を開始して10年目になる。だが設立から8期連続で赤字。決して楽な立ち上げだったわけではない。
だが冒頭にある通り弁護士が増えてくるという市場環境の中で、弁護士のマーケティング需要が顕在化してくるという読みがあった。その需要が顕在化した際に弁護士が役立つサービスを提供すべく、サイトの拡充に力を注いだ。
「弁護士ドットコム株式会社を経営する傍ら、私は法律事務所オーセンスも経営しています。2011年から2012年頃は弁護士業界では過払いバブルもありどの事務所もバブルを享受しましたが、バブルの後は弁護士事務所自体が増えてきており、競争が激化していると感じていました。2012年頃から弁護士もマーケティングをという気運の高まりがありました」
弁護士業界では従来広告は御法度とされてきており、インターネット広告が解禁されたのはここ数年だ。広告が解禁されたのは良いが、今まで広告を売ってマーケティングした経験がないため知見がない。そこで法律相談の見込み客が多く訪問する弁護士ドットコムを活用して受任に繋げるという需要が顕在化してきた。
「弁護士業界のコスト構造はほぼ人件費が全てでしたが、競争環境が激しくなることで広告費に投下するという経営判断も出てくると思われます。従来の企業同様、売り上げの20%程度を広告費に充てるポテンシャルがあると捉えています」
広告費ポテンシャル:約2000億円
インターネット広告費:約1000億円
弁護士1人あたり平均売り上げ:約3000万円(日弁連調査)
弁護士数:約3万5000人(2014年時点)
年間弁護士増加数:約1500人
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