日本の女性活用の「不都合すぎる真実」 衝撃! 女性の出世には「長時間労働が必須」だった

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テレワーク(在宅勤務)も同様です。「在宅で作業するのはかまわないが、24時間対応できるようにしてほしい」というプレッシャーを、上司や勤務先から受けた労働者もいました。でも、それではワーク・ライフ・バランスは達成しにくい。このような「誤った柔軟性の応用」も批判されたのです。

米国にも長時間労働を企業に対するコミットメントの目安とする企業文化は以前はあったのですが、それがだんだんと批判され少なくなりました。「長時間労働以外のコミットメントの尺度を持つべき」というわけです。

――今の日本と似ている面も多いですね。米国企業の事例や失敗経験から、日本企業も学ぶことができそうです。

ぜひ、そうしてほしいと思います。まず第1に、個人の業務を明確化して個人の生産性を計りやすくしたうえで、個人の時間管理の自律性を高める必要があります。そうすることで、生産性を維持もしくは高めるために柔軟な働き方を認めるべき――という論理につながっていきます。

第2に必要なことは、個人の労働時間の総量規制です。最大労働時間をせめて55時間にするなど、労働基準法の限度時間の趣旨に沿った規制が必要です。いつ、残業があるかわからないと、ライフプランを立てられませんから。

ワーク・ライフ・バランスの基本的な考え方は、労働時間管理の決定権をより多くの労働者に与えよ、ということです。そして、企業は労働者の家庭の問題に関する働き方の選好に寄り添うべき、ということ。現状、少なくとも日本では企業の事情が優先されています。その結果、男性正社員は恒常的に残業している。拘束と保障を交換するシステムになっているのです。

長時間労働をした女性しか、出世できていない!

――本当に「夫の恒常的な残業」は、多くの問題の根っこにあると思います。

少し意外に思われるかもしれませんが、女性のほうが長時間労働の問題がより深刻なのです。『日本労働研究雑誌』7月号に「ホワイトカラー正社員の管理職割合の男女格差の決定要因」と題した論文を発表したのですが、男女で比較してみると、管理職要件に長時間労働がかかわる度合いは女性のほうが男性より高いのです。残業できない雇用者は、そのほとんどが女性ですが、最初から一般職など管理職昇進機会の極めて少ない職に就けてしまうからです。

この研究は、経済産業研究所が行ったワーク・ライフ・バランスに関する国際比較調査の一部を使って分析したものです。結論から言うと、ワーク・ライフ・バランスとキャリアが両立しない、ということになります。こういう文化が残るかぎり、女性が家庭を持ち育児をしながら昇進を目指すのは難しいでしょう。

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