日本の女性活用の「不都合すぎる真実」 衝撃! 女性の出世には「長時間労働が必須」だった

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――解決策はあるのでしょうか。

ひとつわかりやすいのは、女性の登用度や残業時間度の「見える化」です。たとえば政府にできるのは、上場企業にこれを義務化させることなどが考えられます。労働時間当たりの売上高や利益を見たら、女性の人材活用の進んでいない企業や、ホワイトカラーの長時間労働に頼る企業は、そうでない同業種の企業に比べ時間当たりの生産性が低いことが明示的になるはずです。

私は経済産業省の「企業活力とダイバーシティ推進」専門委員会の座長を務めたことがあります〈『ダイバーシティと女性活躍の推進―グローバル化時代の人材戦略』(経済産業省)で結果を報告〉。この 会議で私が経済産業研究所の調査データを分析して報告したのですが、わが国での従業員100人以上の企業では、課長以上の女性が1人もいない企業が45%もあります。これはいくらなんでも女性人材の非活用も度が過ぎます。背景には長時間労働が管理職条件という文化があるのだと思いますが。

ちなみに先ほどお話した米国は、大企業の役員に占める女性割合は17%に達していますし、管理職なら43%がもう女性です。共働きは当たり前ですし、夫の家事育児も日本よりはずっと多いです。

出張の際は、前の担当者とジョブシェアが当たり前

――先生ご自身は1981年に米国で博士号を取得して以来、米国でお仕事をされています。米国のトップ大学は研究の競争が非常に厳しく“publish or perish (出版か死か)” と言われるほど、と聞きますが、職場の雰囲気はどうでしょう?

大学や学部によって異なると思いますが、私が所属しているシカゴ大学の社会科学部は根本に「個人の働き方の選好を尊重して柔軟に対応し、不必要な犠牲を強いない」という価値観があります。

私が社会科学部で社会学科長をしていたときの例をお話しましょう。学科には20人のファカルティー(教職員)が所属しています。夏休み期間(7~9月)には経済産業研究所で研究するため、東京に滞在していたし、それが私の希望でした。一方この間、講義はありませんが学科長としての仕事はいろいろあります。そこで、前学科長とジョブシェア(複数で同じ職務に就くこと)をしました。

シカゴでないとできないことを夏の間だけ前学科長にやってもらい、東京でもできる仕事は夏の間も私が引き続き行ったのです。

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