なぜ今さら「菅vs.小沢」? 迷走する民主党政権

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強制捜査がなければ「小沢首相」だった

が、すべては「時計の針を1年前に戻そうという執念」という文脈で解釈すれば、小沢氏立候補の不可解さは氷解していく。

小沢氏が民主党代表に就任したのは2006年4月。選挙に勝つことに軸足を置いた党運営で、07年の参院選勝利をもたらし、「ねじれ国会」を実現する。ここを起点にして安倍、福田、麻生政権を追い込んでいった実績は、民主党議員の誰もが認めざるをえない。

08年9月に無投票で再選された小沢氏の任期は、本来であれば今年9月まで。昨年の総選挙で自民党を破ることができていれば、という条件付きではあるが、順当に行けば小沢氏は首相になっていたわけだ。

それを阻んだのは検察だ。西松建設から資金管理団体に対する違法献金があったとの嫌疑により、検察が強制捜査。小沢氏の元秘書が逮捕される事態にもなり、昨年5月に代表退任を余儀なくされる。

ところが強制捜査の結果、起訴猶予となった。このことを小沢氏は「一年有余調べても何も問題がなかったということ。よかったな、と思っている」と表現しているが、内心は穏やかではない。小沢氏周辺によると、検察捜査への恨みは強烈だ。

何としても時計の針を1年前に戻す、これが小沢氏の執念だろう。

鳩山政権の実績(マニフェストで約束した施策の財源確保のために事業仕分け等を試みたが歳出削減は限定的だった、普天間基地移転が公約どおりに進まなかった、など)を無視して、「09年の総選挙で掲げたマニフェストの完全実施」を主張する姿からもそのことは読み取れる。小沢氏にとって、この1年は空白なのだ。

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