三越伊勢丹とH2Oを分析する

百貨店が受けた消費増税のダメージはどれほどか?

三越伊勢丹の財務諸表をもう少し詳しく調べると、百貨店ならではの特徴が見られます。ポイントは、保有する現預金です。

百貨店は少ない現金でも回る商売

貸借対照表(5~6ページ)の「現金及び預金」を見ると、370億円あります。これが多いか少ないかを判断するためには、「手元流動性(現預金や有価証券などのすぐに売れる資産÷月商)」という指標を計算します。すると、三越伊勢丹の場合は0.4カ月分になります。

この指標は、大企業ですと、通常では約1カ月分あれば問題ないと判断されていますから、三越伊勢丹はかなり低い水準だと言えますね。

百貨店という業種は、非常に少ない現金で事業が回るのです。その理由の一つは、安定して日銭が入ってくる商売だからということ。一方、もう一つの特色は、「受取手形及び売掛金」が多いということです。貸借対照表の「資産の部」から、受取手形及び売掛金を調べますと、1166億円計上されています。

受取手形及び売掛金とは、簡単に言いますと、売ったけど回収していないおカネのことです。百貨店の中でも、特に三越伊勢丹は、外商によって儲ける比率が高い企業です。外商はほとんどツケで支払われますから、現金で取り引きすることはありません。ですから、受取手形及び売掛金が膨らんでいるのです。

では、その分をどうやってファイナンスしているのでしょうか。資産の部の反対サイドである「負債の部」を見ますと、「支払手形及び買掛金」という勘定科目があります。こちらは、商品の仕入れなどで、買ったけどまだ支払っていないおカネのことです。

三越伊勢丹の場合は、1057億円計上されていますね。これは、受取手形及び売掛金1166億円とほぼ同じ規模です。つまり、受取手形及び売掛金(売ったけど回収していないお金)は、支払手形及び買掛金(買ったけど支払っていないおカネ)でファイナンスしているというわけです。

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