特種東海製紙の「シュ」は、なぜ「種」なのか?

特別な紙を作るトクダネさんの秘密

きれいに色を付けられたファンシーペーパー

預金通帳用の紙、肉まんの裏に貼り付いた紙、タバコの巻紙、駅弁に入っているような小さく畳まれたお手ふきの紙、電車の中吊り広告用の紙、検便用の紙、スピーカーコーン用の紙、トランプの紙、パンチカード用の紙など、紙の中でも「こんなところにまで紙が」「確かにこれも紙だわ」と思わずうならされるような紙を特殊紙と呼ぶ。

今回はその特殊紙を得意とする特種東海製紙の三島工場にお邪魔するため、JR東海道線の三島駅を下りてタクシーに乗った。行き先を告げると、ドライバーが言った。

「あそこ、紙幣用の紙をつくってるんでしょう。みんな言ってますよ」

紙幣用の紙をつくっている!?

事前に得ていたなかに、その情報はなかった。本当に諭吉に一葉、漱石のすかし入りの紙までつくっているのだろうか。だとしたら、トクシュにもほどがある。ぜひ記念に何枚かいただきたい。

三島工場に着いてすぐ、工場長の影山正樹さん、前の工場長で現在は経営企画本部長である佐野倫明さんにそれとなく切り出してみたところ、即、否定。

「いえ、つくっていません。おそらく、前身となる特種製紙を大正15年に設立した初代社長の佐伯勝太郎博士が国の印刷局の抄紙部長だったことから、どうも、誤解されているようです」

そうだったのか。早とちりを反省していると、この工場の管理部生産計画課課長の室伏敬治さんがふたりへ目配せしたように見えた。本当は、つくっているのでは? つくっているけど言えないだけなのでは? 胸の奥に疑問が生まれる。

次ページ2つの「きれい」とは?
ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 競馬好きエコノミストの市場深読み劇場
  • 育休世代 vs.専業主婦前提社会
  • 若者のための経済学
  • 最新の週刊東洋経済
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
-

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

ログインしてコメントを書く(400文字以内)
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
かんぽ まさかの10月営業再開<br>日本郵政グループの不適切判断

日本郵便本社が発した「10月からかんぽ営業を段階的に再開」との緊急指示に、現場は大混乱。乗り換え勧奨禁止などの再発防止策、7月末に実施を発表した全件調査、特定事案調査にも大きな問題を残したままだ。拙速な営業再開の裏には何が。