フランス人夫婦「結婚2年で別居選んだ」納得の訳 カップルの数だけ、カップルの形があっていい

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2人で一緒にいたい時間を選び、日常生活のことでもう喧嘩をしない。これはかなりお金のかかる生き方ですが、今後自分たちのスペースを持つという考えを保ちたい、といいます。もちろん、これは信頼と自信に基づいているもので、誰もができる簡単なことではありません。

有名な知識人カップル、ジャン・ポール・サルトルとシモーヌ・ド・ボーヴォワールは、こうしたカップルのあり方を選んだパイオニアです。当時、ユニオン・リブレはまだ社会的に受け入れられていませんでしたが、若い2人は「制度なし、結婚なし、相互の自由、そして利益、透明性のために」お互いを愛するカップルのための、新しいあり方を発見したのです。

私のパリの隣人もこのように暮らしています。彼女と夫は別居を決めましたが、好きなときに会ったり、ブルターニュにあるカントリーハウスで一緒に過ごしたりしています。

一方、フランスで法的に結婚を認められた同性カップルは熱心に結婚したがっています。15年間同棲しているパトリックとマークは、盛大な式をして結婚する必要性を感じたといいます。クロードとカートは、20年間同棲しており、フランスで法律が可決されるとすぐに結婚することを決めました。

肌感覚では「復縁」も増えている

また、最近私の周りで多いのは、元パートナーとの復活です。コロナ禍の影響に加えて、フェイスブックやインスタグラム、あるいは別のソーシャルネットワークを使えば長年会っていない人に再び連絡をするのが簡単になったからかもしれません。

かつての恋人やパートナーに連絡することは不思議な気分を伴うと同時に、何年も(時には30年も!)会っていなかった人と連絡を取り合うことは、何か人生の振り出しに戻ったような気分で嬉しくもあるのかもしれません。そして、自分に問いかけるのです。「もし、一緒になっていたら……」と。そして、自分の今の人生に疑問を感じながら、それがノスタルジアを通したものであっても、かつてのカップルたちは再会を果たすのです。

実際、私の周りの多くのカップルは、学生時代に、あるいは高校時代に、夢中になったパートナーと再び一緒になり、暮らし始めている。ほとんどの場合、最初に連絡をするのは男性側のようです。

そして、どんな形であれ、最も大事なことは幸せを見つけようとすることでしょう。それぞれが自分の生き方を「選択」することが重要であって、幸せになる方法は1つではないのです。そしてそれはカップルでも同じ。クリスマス、そして年末年始は特に恋の予感がする時期なのですから!

ドラ・トーザン 国際ジャーナリスト、エッセイスト

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Dora Tauzin

フランス・パリ生まれの生粋のパリジェンヌ。ソルボンヌ大学、パリ政治学院卒業。国連本部広報部に勤務ののち、NHKテレビ『フランス語会話』に出演。日本とフランスの懸け橋として、新聞・雑誌への執筆、テレビ・ラジオのコメンテーター、講演会など多方面で活躍。著書に『フランス式いつでもどこでも自分らしく』『パリジェンヌはいくつになっても人生を楽しむ』『好きなことだけで生きる』などがある。2015年、レジオン・ドヌール勲章を受章。公式ホームページはこちら、 Facebookはこちら

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