フランス人夫婦「結婚2年で別居選んだ」納得の訳 カップルの数だけ、カップルの形があっていい

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フランスでは毎年100万人近くのカップルが誕生し、その半分以上がユニオン・リブレを選択しており、その数は法的婚姻とPACSの合計数を上回っています。これは50年前には非常にまれなことでした。

このことからわかるように、日本とは対照的に、フランスのカップルのあり方はとても多様です。事実婚や単なる同棲相手として一緒に暮らすことも、法的に結婚することも、PACSを結ぶことも周りの目を気にすることなくできます。

実際、フランスのカップルは異なる「フェーズ」を経ることは少なくありません。結婚せずに一緒に暮らす、別居する、結婚せずに子どもを持つ、結婚する、結婚して別居する、そして一部の人は離婚する……。

それぞれのライフステージやキャリア、相手や別の人への恋愛感情などによってカップルの形は変わるのです。例えば、コロナ禍では多くのカップルが離婚、あるいは、別離という道を選んでいます。

「家庭内別居」を選んだカップル

25年間共に暮らしたマリオンとクリスチャンは結婚に興味がありませんでした。彼らは法的な絆なしに一緒に暮らし始ましたが、1人目の子どもが生まれた後、法律上および実務上の理由で結婚することを決めました。その後、2人目が生まれてから離婚の危機に瀕しているものの、現在は家の中にそれぞれのスペースを設けることで生活を共にし続けています。

離婚の手続きが複雑なうえ、費用がかかることが彼らを「引き止めて」いる理由の1つですが、同じ家の中でそれぞれのスペースや基準を設けられたことが、彼らを「自由」にした側面があるようです。これは、それぞれ別の寝室で過ごす日本の夫婦を思わせるところがあります。

夫婦で寝室を別にすることは、多くのフランス人にとって日本の家庭生活におけるとてもショッキングなことでした。ですが、それが一部のカップルにとっては長続きの秘訣になっていることもわかっています。日本では、一家(家庭)はカップル(夫婦)よりも重要であることが多いのでしょう。

ニコラス(34歳)とベティナ(29歳)の例も見てみましょう。2人は付き合って5年、結婚して2年になりますが、2カ月前に別々に住むことを決めました。2人はそれが自分たちの関係を維持する最良の方法だと考えているといいます。

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