「最後に食べる」派だったせいで…
好きなものを最初に食べるか、最後に食べるか。
誰もが一度は議論したことがある永遠のテーマだが、当然ながら、どちらが正しいということはない。その間にあるのは決してわかり合えない宗派の違いであり、むやみに交わり合うのは、決して得策とは言えない。
しかし、もし『最後に食べる派だったせいで、最初に食べる派の人に、残しておいたものを食べられてしまった』場合、あなたはどう思うだろうか?
「それは、私が5歳の年のクリスマスの夜のことでした。『会社の同僚が、ドイツ出張に行ったお土産でくれたよ』と言って、父が白い骨付きウインナーを持って帰って来てくれたんです」
今回、話を聞いたのは井上香織さん(37歳/仮名)。秋田県出身で、陳腐な表現だが"秋田美人”という言葉が似合う、和風美人である。両親もともに秋田県出身で、父は仙台の会社で働いていた。同じ東北地方と言えども3時間ほどかかる道のりである。ゆえに単身赴任で、帰ってくるのは2~3カ月に1度程度だった。
「昔からお父さん大好きっ子でした」と語る香織さんは、父の帰宅を毎回心待ちにしていたが、その理由の「半分はお父さん。でも、残り半分はお父さんが買ってくる食べ物でした」と打ち明ける。
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