「中学から料理担当」女性が病床の母にかけた言葉

娘に料理を任せた母は入院中もお調子者で…

中学生の頃には家の料理を一手に任されていた女性が、大人になった今思うこととはーー?(イラスト:オオノマサフミ)
「食い物の恨みは恐ろしい」という言葉がある。『食べ物は人間にとって必要不可欠なものであるから、恨みを持たれるようなことはしないに限る』という意味だが、恨みが生まれるのは、何も「取った/取られた」場合に限らない。
そんな『食べ物の恨み』にまつわる体験談を聞きながら、普段、改まって話し合うことのない『食事』や『料理』について、基本楽しく、ときに真面目に考え直す、インタビュー連載第2回。

派手好きな母と、ボンボンの父

「私の場合、誰かになにかを取られたとかではないんです。でも、食全般に関して、お母さんには複雑な想いがありまして……」

苦笑交じりに話すのは、大阪府に住む山本千鶴さん(仮名/60歳)。還暦とは思えぬ若々しい美人で、話しぶりは明るい一方、上品な服装からは嫌味のない絶妙なお金持ちオーラが出ている。

「実家はすごく貧しくて、社会人になるまでは本当にひどい生活だったんですよ」

しかし、筆者の予想とは裏腹に、彼女の口から語られたのは、なかなかの貧乏エピソードだった。  

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千鶴さんは運送業をしていた父・幸雄さん(仮名)と、デパートの元販売員だった母・襟子さん(仮名)のもとに生まれた。幸雄さんは京都の、いわゆる名家の出身。千鶴さんいわく「典型的なボンボン息子」だったそうだが、そんな彼の人生を変えたのが、大学時代、ミナミ(難波)の街で夜遊び中に出会った襟子さんだった。

「父は整った顔立ちで、当時としては背が高かったこともあり、すごくモテたそうなんです。実際、若い頃の写真を見ると確かにイケメンで、生涯を通して一番似ていると言われていたのが高倉健さん。で、そんな父に一目惚れしたのが、偶然同じお店に居合わせた母でした。

『お兄さん、いくつ? 一緒に飲まへん?』と接客業仕込みのトークスキルで話しかけたそうです。本家と同じく硬派……でもなかった父はすぐに落ちたそうで、『高倉健は高倉健でも、めちゃくちゃチョロい高倉健やったわ』と母からは聞いています(笑)」

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