今回話を聞かせてくれたのは佐藤真理子さん(仮名・43歳)。ネット関係の企業でマネジャーを務めている女性で、話しぶりにも知的な雰囲気がにじみ出ている。
しかし詳しく聞いていくと、「料理をしない母親のもとに育った結果、冷凍食品やレトルト食品を食べすぎて、逆に強い抵抗感を持つようになる」という、一風変わった過去を持っている。
20余年に及ぶ”食い物の恨み”が、解消されるまでの経緯を話してもらった。
極端に料理嫌いな母、飢えた幼少期
現在は神奈川県に居を構え、共働きの夫、ふたりの娘たちと暮らしている真理子さんだが、高校まで過ごしたのは九州の某県だ。
両親は共働きで、子煩悩。とくに母との関係性は、現在に至るまで良好とのことだが、料理する能力に関しては徹底的に欠けていたという。
「自分で言うのもあれですけど、私は母から溺愛されていたと思います。実際、母はいつも私たち子どもと遊んでいるような人で……でもその一方で、とにかく料理をしない人でもありました。
昔から家族で食卓を囲む習慣がなくて、当時何を食べていたのか、ほとんど思い出せません。最初は『そんなものなのかな』と思っていましたが、小学校低学年になる頃には『どうやらうちは変らしいぞ』と感じていましたね」
違和感が確信に変わるのに、そう時間はかからなかった。きっかけは、父方の祖母が亡くなり、祖父と同居するようになったことだった。
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