2017年には中国でも風力発電が原発を上回る--アースポリシー研究所所長 レスター・ブラウン
米メキシコ湾での石油流出事故は、チェルノブイリの原子力発電所事故と同様、エネルギー開発の安全性に警鐘を鳴らした。再生可能エネルギーへの転換や、注目されるEV(電気自動車)の普及などについて、アースポリシー研究所のレスター・ブラウン所長に聞いた。
--実用化が進むEVの効率性をどうみていますか。
電力のモーターは既存のエンジンよりも燃費効率が高い。つまり、EVはガソリン自動車よりもエネルギーの消費量が少ないわけだ。電力源も風力発電などの再生可能エネルギーで動かすことができる。風力発電はまだピークを迎えていない。今の電力システムを拡張することなく、80%の運輸産業の自動車を動かすことができるとの推計もある。風力発電とEVを使うことで、エミッションフリー(CO2排出ゼロ)の運輸セクターができあがる
ということだ。
--米国では風力発電への電力源シフトが進んでいますか。
石炭から風力にシフトする動きはかなり進んでいる。2007年から09年の2年間で見ると、このときは経済があまりよくないときだったが、石炭による発電は11%減少し、反対に191の風力発電所ができた。
--EVの普及は今後、加速度的に進む可能性がありますか。
EVのすばらしいところは、インフラはもうすでにあること。電気の送電線も配電線も完備されている。電力をチャージするスタンドは、基本となる配電線・送電線が完備されているので特に問題はない。ステーション設置には、そんなに大きな投資はいらない。たとえば、家庭や、職場のガレージ、ショッピングセンターなどに設置すればいい。
EVへのシフトは一般に考えているよりも、かなり速いスピードで進んでいく。そう考える理由の一つは、地球温暖化問題が深刻で、自動車会社はEVを造らないと競争力がなくなる状況にあるからだ。生き残ろうと思ったらEVを造らざるをえない。今起こっていることは市場がそうさせているということだ。