2017年には中国でも風力発電が原発を上回る--アースポリシー研究所所長 レスター・ブラウン

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 二つ目は大気汚染。ガソリンで走ると大気汚染は避けられないが、EVであれば再生可能エネルギーで走るわけで、大気汚染の問題はまったくない。さらに、大気汚染は健康にも深刻な問題を引き起こす。特に中国での健康問題は大変深刻。再生可能エネルギーを動力源とするEVにシフト強化することになろう。

--中国の環境対策でも、風力発電に注目しているようですね。

風力をベースにプログラムが発表されていて、現状の規模は小さいが、これからの5年間に風力発電容量を毎年倍にしていく計画が出ている。これで特筆すべきは、7基のメガコンプレックス、つまり、7カ所の大きな風力発電所を造ること。全体の規模は13万メガワットになる。これは石炭火力発電の130基分の容量と同じだ。

中国と米国の共同チームで、中国全体の風力発電の調査を行い、それが米『サイエンス』誌に発表された。その結果は驚くことに、現在のキャパシティ(電力発電容量)に比べ、実に7倍の潜在風力発電の能力があるという。中国で風力発電は、巨大な需要を生み出す可能性がある。

--米国の風力発電への期待は。

米国には現在3万メガワットの風力発電所がある。それができあがって電力ラインとの接続を待っている状態。米国では50州あるうちのノースダコタ、カンザス、テキサスの3州だけの風力発電で、米国全体の電力需要を賄う潜在力がある。

中でもテキサスでは面白いことが起きている。あそこは石油の州だが、オイルマネーを風力発電に投資する動きが起こっているのだ。テキサスを仮に国に例えると、世界で米国、中国、ドイツ、スペインに次ぐ5番目の風力発電国といえる規模を持つ。現在32州で商業ベースに乗った風力発電があるが、テキサスはそのリード役といえる。

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