「何でも電話vsいつもメール」どちらが正解なのか 「迷惑」「気持ちがわかる」「時間泥棒」結論は?

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「電話のメリット」としては、以下のようなことがあります。

【1】その場で相手の意志を確認できる
【2】相手の声色で、感情を読み取れることがある
【3】気持ちが伝わりやすく、相手との距離を近づける
【4】電話での会話によって、孤独感を癒やすことができる
【5】記録を残さずに情報を伝えられる

実際に、「メールでのセールスよりも、電話でのセールスのほうが10倍成果を出しやすい」などといった研究もあり、「肉声」のほうが信頼感を得やすいと考える人も少なくないようです。

一方、「電話のデメリット」は以下のようなことがあります。

【1】電話をかけた側の都合で、かけられた側の時間が一方的に奪われてしまう
【2】電話の呼び出し音などの心理的圧迫感
【3】資料の添付ができず、複雑な案件などを説明しにくい
【4】やりとりの記録が残らない
【5】不在着信の場合、かけ直すなどの手間がかかる

それぞれに、メリットとデメリットを勘案して判断していくしかないということになりそうですが、電話をかける際には以下の点に考慮が必要です。

●機密性や緊急性、また親密な会話など「電話でなければならない要件」かどうか
●相手が「電話を嫌がらない人」かどうか
●「電話をする了解」が事前に必要かどうか
●電話とメール、どちらが「目的」を達成しやすいか

年代や職場等の属性、関係性、日ごろの習慣など、人によって、電話への許容度はまったく違います。

「電話をかける前には、相手の了解が必要だ」と考える人は確実に増えており、あまり親しくない人に、いきなり電話をかけることのリスクは高いことを認識しておいたほうがよいでしょう。

コミュ力の極意は「ツールの使い分け」

「コミュニケーションの極意」は、「相手が受け止めやすいボールを、受け止めやすいタイミングで投げること」です。

自分が投げやすい球を一方的に投げるスタイルでは嫌われてしまいます。相手が「どんなスタイルのコミュニケーション」を望むのかをしっかりと把握し、配慮する気遣いが求められているのです。

「気軽に電話も許されないとは世知辛い」と思う人もいらっしゃるかもしれません。なかなか会えない時代だからこそ、オンライン会議やメール、メッセージといった「デジタルツールでのコミュニケーション」においても、より気持ちが伝わりやすくする一層の工夫が必要ともいえます。

「対面」や「電話」などを必要に応じて、組み合わせる「多様なコミュニケーションツールの最適な使い分け」ができる人だけが、「コミュニケーションの達人」になれるのです。

岡本 純子 コミュニケーション戦略研究家・コミュ力伝道師

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おかもと じゅんこ / Junko Okamoto

「伝説の家庭教師」と呼ばれるエグゼクティブ・スピーチコーチ&コミュニケーション・ストラテジスト。株式会社グローコム代表取締役社長。早稲田大学政経学部卒業。英ケンブリッジ大学国際関係学修士。米MIT比較メディア学元客員研究員。日本を代表する大企業や外資系のリーダー、官僚・政治家など、「トップエリートを対象としたプレゼン・スピーチ等のプライベートコーチング」に携わる。その「劇的な話し方の改善ぶり」と実績から「伝説の家庭教師」と呼ばれる。2022年、次世代リーダーのコミュ力養成を目的とした「世界最高の話し方の学校」を開校。その飛躍的な効果が話題を呼び、早くも「行列のできる学校」となっている。

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