「問題」と「課題」を区別できない人がしがちな失敗 意外と違いがわからず使っている場合もある

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それは、一言でいうと、「問題」と「課題」の使い分けができないと、ビジネスにおける最適な解決策(打ち手)を見出すことができなくなってしまうためです。

「問題」と「課題」の区別ができない人がやってしまう失敗が、主に以下の2つです。

✔「課題」がただの「問題」になっていることに気づかず、「課題」の設定をすっ飛ばしてしまう
✔「問題」を正確に捉える前に、なんとなく曖昧なまま詰めの甘い「課題」を設定してしまう

こうした失敗が原因で、解決策を間違ってしまう可能性が高くなります。結果として、商品をヒットさせるといった成果を生むことができなくなってしまうのです。

私は、新卒で電通という広告会社に入り、マーケティング部門に配属されました。そこでは主に、クライアント企業の商品をヒットさせるための戦略をプランニングし、解決策を提案していました。このような業務の中では特に「問題」と「課題」という言葉が頻出します。そのときに「問題」と「課題」を混同してしまうと、戦略や解決策が不完全になってしまうのです。

そのため、プロのマーケターや戦略プランナーは、「問題」と「課題」という言葉を丁寧に使い分けています。電通の戦略プランナーにも、「戦略を司る者として、言葉の意味は厳密にセンシティブに扱うべき」という教えが受け継がれており、この「問題」と「課題」の使い分けについても最初に必ず叩き込まれます。冒頭の「課題は、20代女性間の知名度が低いこと」のように発言しようものなら、「それは“問題” であって“課題” になってない!」と一蹴されます。

私は、「問題」と「課題」が区別できていなかったときに、「課題=ターゲットから興味を持たれていないこと」のように、ただの「問題」を課題設定に当てはめてしまって、課題の設定をすっ飛ばしてしまったことがありました。その結果、有象無象の打ち手の案が出てきてしまって、最適な打ち手(解決策)を絞り込むことができなくなるという失敗をしたことがあります。

こういった経験から、商品やサービスをヒットさせるための解決策を見つけるには、「問題」と「課題」を明確に区別しながら業務にあたらなければならないということを痛感したのです。そこで、まず私は、「問題」と「課題」にはどんな違いがあるのか? この2つの用語の間にはどんな関係性があるのか?これらを明確にするところから始めました。

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