パナソニック、「Technics」復活の舞台裏

中村-大坪時代の"誤り"を修正

新生Technicsのシステムにおいて心臓部となるアンプ技術は、独自のデジタルアンプ技術を用いている。ガリウムナイトライド(GaN)という素材を用いたスイッチング素子で、従来比4倍の速度で動作するデジタルアンプなのだが、それ以前に高音質化で重要なポイントとなるジッター制御技術は、ブルーレイディスクレコーダーのディーガシリーズでHDMI出力の音声品位を向上させるために培われたものだった。

比較視聴でHDMIの問題を把握

初めてのブルーレイソフトが登場した直後ぐらいのこと。音声のデジタル出力はHDMIのみしか許されないことが決まり筆者は落胆し、少しでも品位が高くなるよういくつかの提案をメーカーにしていた。その頃、ブルーレイ製品の開発トップだったのが楠見氏で、HDMIの担当が井谷氏である。

「HDMIの音が特別悪いなんて、そんなはずがない。理屈に合わない」

筆者の話を取り合おうとしない楠見氏に、では比較試聴をしようと誘い、音の問題を把握してもらった。その場で「おかしい。何か原因があるはずだ。原因を突き止めよう」という話になり、井谷氏をはじめとする数人がHDMI伝送時のジッター低減手法を開発した。今でもディーガシリーズのHDMI経由の音声品位は、業界でもトップクラスを誇っているが、よもやその開発がTechnicsの復活につながるとは思いもよらなかった。

もっとも、良い製品を作る能力だけではビジネスにもならない。昨今、ポータブルオーディオは成長しているが、ホームオーディオ市場は縮小を続けている。その中で思惑通りの結果が得られるのか。”Panasonic”への統一から、”Technics”の復活へ。復活させたブランドをグループ内でどのように活かしていくか、新しいパナソニックのブランド戦略に注目したい。
 

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