パナソニック、「Technics」復活の舞台裏

中村-大坪時代の"誤り"を修正

その意気込みは、IFA会場内に3つの防音室を用意して、綿密な音のセッティングを出してデモをしていることからも伝わってくる。即席の試聴室では、ハイエンド・オーディオの実力を完璧に伝えることは難しいが、しかし彼らのコンセプトは十分に伝わってくる。

Technicsのシステムの特徴は、ひとことで言えば”場を伝える”力の強さだと思う。大人数のオーケストラが、指揮者の呼吸に合わせて一斉に音楽を奏でるとき、ジャズの演奏家同士が目と目を合わせ、呼吸を読み取りながらその日、その時だけのリズムを刻むフリーセッション。その呼吸、間合いから感じる緊張感やノリが、全体域でビシッと揃って体全体に伝わってくる。

オーディオ製品の評価にはさまざまな切り口があり、良い音の基準は一様ではない。完璧な製品はなく、最終的には好みによって良し悪しが分かれる面もある。そうした意味で、Technicsの音はまだどう鳴らすか”音色”、あるいは”色気”の部分で最後の追い込みをかけているようにも感じるが、音楽演奏の場、雰囲気を再現する点においては、かなりの進化を見せているように思えた。

実は1カ月ほど前にも、東京でTechnicsの試作製品を試聴していたのだが、その時に感じた若干の落胆に比べると、今回の試聴では絶好調。このままのペースで進化するならば、最後の仕上がりには期待ができると思う。今から「これが最終」という音を聴くのが楽しみだ。

なぜブランドを復活?

一方、パナソニックという企業の中で、なぜ今、オーディオブランドなのか?という疑問も当然ながら出てくる。

かつては東芝がAurex、日立製作所がLo-D、三菱電機のDIATONE、シャープのOPTONICA、三洋電機のOTTO、そして松下電器産業(現パナソニック)がTechnicsという具合に、大手電機メーカーはピュアオーディオのブランドを持っていた。しかし、各社ともすでにこうしたブランドはクローズ、もしくは大幅に縮小している。

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