部下の不満を組織の力に変える「最強の褒め方」 結果だけでなく、行動や思考も認めてあげよう
具体的な褒め方は2つの技術があります。この2つが両方使えないと、うまく褒めているとはいえません。
①良い行動:アイメッセージで褒めて習慣化させる
②良くない行動:ストレッチゴールで目標に変える
この2つはセットで使う必要があります。
皆さんが部下に仕事を任せてチェックする際、良い点と改善点の両方が見つかるはずです。例えば、作った資料の内容は良かったけど、資料作成の時間が長すぎたというような場合、良い行動は褒め、良くない行動は改善してもらわなければいけません。
「私は」という主語で褒めることが大事
アイメッセージというのは、「私は」という主語で始まる文章で褒めるということです。「私はうれしいよ」「私はいいと思うよ」「私は良くないと思う」「私は変えるべきだと思う」というメッセージです。良い行動も良くない行動も、アイメッセージにすることで、相手は受け止めやすいメッセージになります。
そのうえで、かならず「ストレッチゴール」をセットにします。ストレッチとは「伸ばす」という意味で、スポーツの前に行うストレッチ運動は筋肉を伸ばす運動のことですが、ストレッチゴールとは、ゴールを伸ばす=次のゴールを示すことです。
部下を褒めると「調子にのる」とか「慢心してしまって向上心がなくなる」と思いませんか? それは、ストレッチゴールを示していないからです。良い部分はアイメッセージで褒め、良くない部分はストレッチゴールで改善を求めます。「次はもっと〇〇しよう」「次は〇〇を目指してみようか」とストレッチゴールを伝えることで、部下は悪い点を改善しようと思うようになります。
皆さんは、これまで、アイメッセージとストレッチゴールを使って褒めることができていたでしょうか。この2つの技術がわかったとしても、「何を褒めたらいいのかわからない」という疑問は残ります。
特に、不平不満をたらたら垂れ流す部下に対して、「どこの何を褒めたらいいの?」という気持ちがあるのは当然です。部下の良い行動を習慣化させようにも、そもそも良い行動をしてくれないとしたら、何を褒めたらいいのでしょうか。ここにも解決策があります。
それは、「想いを褒める」ということです。職場において、上司が部下を褒める際には、以下の3つがあると言われています。
①「結果」を褒める
②「行動」を褒める
③「想い」を褒める
褒めるのが苦手な人は、①の「結果」が出たとき以外は褒められないと思い込んでいます。「結果」というのはわかりやすいので、褒めるのはカンタンです。しかし、それだけにとらわれてしまうと、「結果」が出なかったときに褒められなくなってしまいます。
そこで、②の「行動」という視点です。結果を出すには、良い「行動」をする必要がありますから、例えば資料を作成したときでも、この部分は良いアクションだった、この部分は良くないアクションだった、と「行動」の1つひとつを良かった、悪かったと教えてあげることができます。