働きバチのあまりに儚い一生を私たちも笑えない 一生かけてスプーン1杯に集めるハチミツの重み
戻ってくるものもいれば、戻ってこられないものもいる。それがミツバチたちの日常だ。
そんな過酷な仕事を、とても経験の浅いハチにまかせるわけにはいかない。このときこそ、経験豊かなベテランのハチの力の見せどころなのだ。老い先の長くないハチだからこそ、巣のためにできることがある。最後のご奉公として、仲間のために、次の世代のために、危険な任務を担うのである。
老いたミツバチはかいがいしく花から花へと飛び回り、蜜や花粉を集めれば、巣に持ち帰る。そして、再び、危険な下界へと飛び立つ。
これを休むことなく来る日も来る日も繰り返すのである。
働きバチの寿命はわずか1カ月余り。
目まぐるしく働き続けた毎日も、やがて終わりを告げる。
女王バチは1日数千個の卵を産む
危険を覚悟で飛び立った働きバチは、どこか遠くで命が尽きる。それはお花畑かもしれないし、そうではないかもしれない。
ミツバチの巣は何万もの働きバチで構成されている。毎日、おびただしい数の働きバチが、どこかで命を落としていることだろう。しかし、それでいいのだ。女王バチは、1日に数千個もの卵を産む。そしておびただしい数の新しい働きバチたちが、デビューしてくるのである。
1匹のミツバチは、働きづめに働いて、やっとスプーン1杯の蜂蜜を集める。
そういえば、労働時間が長く、休みなく働く日本のサラリーマンは、世界の人々から「働き蜂」と揶揄(やゆ)されていた。
そんな日本のサラリーマンの生涯収入は平均2億5000万円。億単位のお金だからものすごい金額に思えるが、札束にしてみれば事務机の上に簡単に置けてしまう。大きなボストンバッグに入れれば持ち運べてしまうサイズだ。
われわれも一生、働いてみても、ミツバチの集めたスプーン1杯の蜜を笑うことはできないのだ。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら