働きバチのあまりに儚い一生を私たちも笑えない 一生かけてスプーン1杯に集めるハチミツの重み

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ロイヤルゼリーを餌として与えられる女王バチが数年生きるのに対して、働きバチの寿命はわずか1カ月余りである。この間に、働きバチたちは、働けるだけ働くのである。

働きバチというと、花から花へと移動して蜜を集める印象が強いが、働きバチの仕事はそれだけではない。

成虫になった働きバチに与えられる最初の仕事は、内勤である。

働きバチは最初のうちは、巣の中の清掃や幼虫の子守りを行う。

やがて働きバチは巣を作ったり、集められた蜜を管理するなど、責任のある仕事をまかされるようになる。この頃が、働きバチのキャリアにとってもっとも輝かしいときなのだろうか。

働き盛りも過ぎて終わりが近づくようになると……

ミドルを過ぎたミツバチたちに与えられるのは、危険の多い仕事である。

初めにまかされるのが、巣の外で蜜を守る護衛係である。ミツバチにとって巣の外は危険極まりない場所である。出入り口とはいえ、巣の外に出ることは緊張を伴う仕事だろう。

そして、働きバチのキャリアの最後の最後に与えられる仕事こそが、花を回って蜜を集める外勤の仕事なのである。

働きバチの寿命は1カ月余り。その生涯の後半、2週間が花を回る期間である。

まだ見ぬ世界への飛翔。しかし、巣の外には危険があふれている。クモやカエルなど、ミツバチを狙う天敵はうじゃうじゃいるし、強い風に吹かれるかもしれないし、雨に打ちつけられるかもしれない。

蜜を集める仕事は、常に死と隣り合わせの仕事だ。いつ命を落とすやもしれない。一度、巣を離れれば無事に戻ってこられる保証など何もないのだ。

働きバチたちは、そんな危険な世界へと、決死の覚悟で飛び立っていく。

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