働きバチのあまりに儚い一生を私たちも笑えない

一生かけてスプーン1杯に集めるハチミツの重み

働きづめのミツバチはまるで日本のサラリーマンのようだ(写真:Happypictures/PIXTA)
生き物たちはみな、最期のその時まで命を燃やして生きている──。
数カ月も絶食して卵を守り続け孵化(ふか)を見届け死んでゆくタコの母、成虫としては数時間しか生きられないカゲロウなど生き物たちの奮闘と哀切を描いた『文庫 生き物の死にざま』が刊行された。同書からミツバチの章を抜粋する。

一生かけてスプーン1杯の蜂蜜を集める

ミツバチは、その一生をかけて、働きづめに働いて、やっとスプーン1杯の蜂蜜を集めるのだという。

何という憐れな生涯なのだろう。

働きバチは働くために生まれてきた。

ミツバチの世界は階級社会である。ミツバチの巣には1匹の女王バチと数万匹もの働きバチがいる。女王バチから生まれた働きバチはすべてメスのハチである。この数万の働きバチたちは、自らは子孫を残す機能を持っておらず、集団のために働き、そして死んでいくのである。

ミツバチの世界では、たくさん生まれたハチの幼虫の中から、女王になるハチが選ばれる。その選抜の過程など詳しいことはわかっていないが、選ばれた幼虫はロイヤルゼリーという特別な餌を与えられて育つことによって体長12~14ミリメートルの働きバチよりも体の大きな体長15~20ミリメートルほどの女王バチとなる。そして、女王は卵を産み子孫を増やしていくのである。

働きバチにとって、巣の中にいる大勢の仲間は同じ女王バチから生まれた姉妹である。姉妹は親から遺伝子を引き継いでいるから、仲間を守ることが、自分の遺伝子を守ることになる。そのため、彼女たちは巣の仲間のために働くのである。

そして、姉妹の中から女王バチが選ばれれば、そこから生まれる次の世代は、働きバチにとっては姪っ子になる。自らは子孫を残せなくても、自分の遺伝子は受け継がれていくのだ。

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